物忘れ・認知症

親の認知症は予防できる?リスクを下げられる14の要因と研究の結果

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わかっている度 ★★☆ 中研究5本・公的資料2件を整理
公園の散歩道とベンチ
Photo: John Phelan / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

認知症を「絶対にならない」ようにする方法はありません。ただ、研究の推計では、聞こえ・運動・血圧・コレステロールなど14の要因をすべてなくせれば、世界の認知症の45%は防げるか遅らせられる可能性があります。日本のデータで計算し直すと38.9%でした。親の年齢からでも取り組める要因があります。

3行でわかる

  1. 認知症のリスクに関係する、変えられる要因が14個にまとめられています(2024年)。
  2. 日本では、聞こえにくさ・運動不足・LDLコレステロールの高さが大きな要因と試算されました。
  3. 生活改善の効果を試した研究の結果は、まだ「小さな効果」から「差がない」まで分かれています。

01結論から言うと

認知症は完全には防げませんが、なる人を減らしたり、なる時期を遅らせたりできる可能性があります。日本で大きいとされるのは、聞こえにくさ、運動不足、LDLコレステロールの高さです。

日本の政府広報オンラインも、「予防」とは認知症にならないことではなく、なるのを遅らせる・なっても進行をゆるやかにすることだと説明しています[7]。

専門家の委員会(Lancet委員会)が2024年にまとめた14の要因は、次のとおりです[1][2]。

ただし、それぞれの要因の影響は、ここに書いた年代だけに限られるわけではないとされています[2]。

02研究とデータでわかっていること

14の要因と認知症の関連は、多くの研究で確かめられています。一方、生活改善を実際に試した研究では、効果は小さいか、条件によって分かれる結果でした。

45%14の要因をすべてなくせた場合に、防げるか遅らせられる世界の認知症の割合(理論上の推計、2024年)
38.9%同じ14の要因を、日本のデータで計算し直した割合(2026年)
6.7%日本で、聞こえにくさが関係する認知症の割合の推計(14要因で最大)
約20.8万人日本で14の要因をそれぞれ10%減らせた場合に防げる認知症の人数の推計

Livingstonら / Lancet委員会(2024)[1]

これまでの12の要因に、LDLコレステロールの高さと、治療していない視力の低下を加えて14の要因にしました。すべてをなくせた場合、世界の認知症の45%が防げるか遅らせられると推計しています。

対象: 世界の研究をまとめた推計 / 限界: 要因を「すべてなくす」前提の理論上の数字で、国ごとの実際の割合ではありません。

Wasano・Jørgensen(2026)[2]

日本の全国調査などのデータで計算し直すと、14の要因が関係する認知症の割合は38.9%でした。大きいのは、聞こえにくさ(6.7%)、運動不足(6.0%)、LDLコレステロールの高さ(4.5%)です。

対象: 日本の公開データ(主に2019年・2022年の国民健康・栄養調査)を使った推計 / 限界: 一部の要因は1990年代など古いデータで、地域ごとの分析はできていません。

Ngandu ら(2015)[3]

フィンランドで、認知症のリスクがやや高い60〜77歳の1,260人を2つに分けました。食事・運動・脳のトレーニング・血圧などの管理を2年間続けたグループは、健康の助言だけのグループより、認知機能のテストの点がわずかに良くなりました。

対象: フィンランドの60〜77歳1,260人のランダム化比較試験(くじで2つに分けて比べる方法) / 限界: 差は小さく、認知症になる人が減るかまでは調べていません。運動による筋肉や関節の痛みが、取り組んだグループの5%に出ました。

Linら(2023)[4]

アメリカで、聞こえにくさを治療していない70〜84歳の977人に補聴器と聞こえの相談を3年間提供しました。全体では、健康教育だけのグループと認知機能の低下に差はありませんでした。ただ、もともと認知機能が下がるリスクの高い人たちでは、効果が違う可能性が示されました。

対象: アメリカの70〜84歳977人のランダム化比較試験 / 限界: リスクの高い人での違いは、事前に決めた追加の分析の結果で、主な結果ではありません。

03まだわかっていないこと

要因を減らせば実際に認知症になる人が減るのかは、まだはっきり確かめられていません。日本の試験でも、全体では差が出ませんでした。

  • 日本でMCI(軽度認知障害)の高齢者を対象に、運動・栄養・脳のトレーニング・生活習慣病の管理を18か月続けた試験(J-MINT)では、主な結果に差は出ませんでした。運動をよく続けた人では、認知機能の改善が見られています[5]。
  • 45%や38.9%は「要因と認知症の関連が原因と結果の関係である」と仮定した計算です。すべての要因で因果関係が確かめられたわけではありません。
  • どの要因から取り組むと一番効果があるか、何歳から始めれば十分かは、研究でまだ決まっていません。

04親と一緒にできること

親にとって楽しいことや、もともと気にしている健康の話から入りましょう。聞こえ・体を動かすこと・人と会うこと・血圧などの数値の4つは、どれも家族と一緒に話しやすいテーマです。

1

聞こえにくさを、本人の困りごととして聞く

「テレビの音、前より大きくしてない?聞き取りにくくて疲れることある?」と聞いてみます。気にしているようなら、かかりつけ医に相談する流れを一緒に考えます。

目安 電話や帰省のとき・5分

2

一緒に歩く、外に出る

帰省したときに「近所を少し歩かない?」と誘います。運動を「やらせる」のではなく、親が好きな散歩道や買い物を一緒に楽しむ形にします。転倒が心配なら家の中の転倒対策も参考にしてください。

目安 帰省のたびに20〜30分

3

人と会う機会を、親の好みに合わせて考える

「最近、誰かと会ったりしてる?」と聞き、親が行きたい集まりや趣味があれば応援します。孤立は14の要因の1つです[1]。

目安 月1回の話題に

4

健診の数値を一緒に見る

血圧・コレステロール・血糖は、WHOの指針でも適切に保つことがすすめられています[6]。「健診の結果、先生はなんて言ってた?」と聞き、治療の判断はかかりつけ医に任せます。

目安 年1回の健診のあと

すでに物忘れが気になっている場合は、親の物忘れは年のせい?認知症のはじまりとの違いもあわせて読んでみてください。

05よくある質問

認知症は予防できるの?

「絶対にならない」ようにする方法は見つかっていません。ただ、聞こえ・運動・血圧・コレステロールなどの要因に対策すると、なる人を減らしたり、なる時期を遅らせたりできる可能性があると推計されています。日本では「予防」を、認知症になるのを遅らせる・進行をゆるやかにするという意味で使っています。

70代・80代からでも意味はある?

意味がないとは言えません。フィンランドの研究では、60〜77歳の人が2年間の生活改善に取り組み、認知機能のテストの点がわずかに良くなりました。社会的な孤立や治療していない視力の低下は、高齢期の要因として挙げられています。

サプリや脳トレのアプリで予防できる?

特定の商品で認知症を防げると確かめた研究は、この記事では扱っていません。WHOが2019年に示した指針で挙げられているのは、運動、禁煙、お酒を飲みすぎない、体重の管理、健康的な食事、血圧・コレステロール・血糖を適切に保つことです。

出典

  1. Livingston, G., Huntley, J., Liu, K. Y., et al. (2024). Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. The Lancet, 404(10452), 572-628. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(24)01296-0
  2. Wasano, K., & Jørgensen, K. (2026). The potential for dementia prevention in Japan: a population attributable fraction calculation for 14 modifiable risk factors and estimates of the impact of risk factor reductions. The Lancet Regional Health – Western Pacific, 66, 101792. https://doi.org/10.1016/j.lanwpc.2025.101792
  3. Ngandu, T., Lehtisalo, J., Solomon, A., et al. (2015). A 2 year multidomain intervention of diet, exercise, cognitive training, and vascular risk monitoring versus control to prevent cognitive decline in at-risk elderly people (FINGER): a randomised controlled trial. The Lancet, 385(9984), 2255-2263. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(15)60461-5
  4. Lin, F. R., Pike, J. R., Albert, M. S., et al. (2023). Hearing intervention versus health education control to reduce cognitive decline in older adults with hearing loss in the USA (ACHIEVE): a multicentre, randomised controlled trial. The Lancet, 402(10404), 786-797. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(23)01406-X
  5. Sakurai, T. (2026). Japan-multimodal intervention trial for prevention of dementia (J-MINT) and its societal implementation: Concepts, challenges, and future directions(日本語論文). 日本老年医学会雑誌, 63(2), 86-96. https://doi.org/10.3143/geriatrics.63.86
  6. World Health Organization (2019). Adopting a healthy lifestyle helps reduce the risk of dementia(WHO guidelines: Risk reduction of cognitive decline and dementia の発表). https://www.who.int/news/item/14-05-2019-adopting-a-healthy-lifestyle-helps-reduce-the-risk-of-dementia
  7. 政府広報オンライン (2025). 知っておきたい認知症の基本. https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html