物忘れ・認知症

親の物忘れは年のせい?認知症のはじまりとの違い

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的資料2件を整理出典照合済み(2026-10-07)
老眼鏡
Photo: Mk2010 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

物忘れがあっても、すぐ認知症とは限りません。日本の75〜79歳で認知症の人は7.1%と推計されています(2022年)。見分ける目安は、体験の細かい部分を忘れるか、体験そのものを忘れて暮らしに困りごとが出ているかです。後者が続くなら、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談しましょう。

3行でわかる

  1. 朝ごはんの中身を忘れるのは年齢による物忘れ、食べたこと自体を忘れるのは相談の目安です。
  2. 日本の75〜79歳では、認知症の人が7.1%、その手前のMCIの人が16.5%と推計されています(2022年)。
  3. MCIから認知症に進むのは1年で5〜10%ほどで、正常に戻る人もいます。

01結論から言うと

体験の一部を忘れ、本人に忘れた自覚があるなら、年齢による物忘れの範囲です。体験をまるごと忘れ、暮らしに困りごとが出ているなら、相談を考える目安になります。

政府広報オンラインは、2つの違いを次のように整理しています[1]。

うつや、甲状腺の病気など、認知症に似た状態もあります。だからこそ、自己判断せず早めに相談することがすすめられています[1]。

02研究とデータでわかっていること

認知症の手前の段階を「MCI(軽度認知障害)」と呼びます。物忘れはあっても、暮らしは自立している状態です。研究では、MCIの人の多くは認知症に進まず、正常に戻る人もいます。

16.5%日本の75〜79歳でMCIの人の割合(2022年の推計。同じ年代の認知症は7.1%)
22.6%日本の80〜84歳でMCIの人の割合(2022年の推計。同じ年代の認知症は16.6%)
年5〜10%MCIから認知症に進む人の1年あたりの割合(41の追跡研究のメタ分析、2009年)
18%MCIから正常な状態に戻った人の割合(25研究のメタ分析、2016年)

厚生労働省(2024)[2]

2022年の日本の65歳以上では、認知症が12.3%、MCIが15.5%と推計されました。認知症の割合は、年齢が上がるほど高くなります。

対象: 日本の4地域の調査をもとにした推計 / 限界: 4地域の結果を全国に当てはめた数字です。

Mitchell・Shiri-Feshki(2009)[3]

MCIから認知症に進む人は、1年あたり5〜10%ほどでした。著者らは、MCIの人の多くは10年たっても認知症に進まないとまとめています。

対象: 41の追跡研究のメタ分析(複数の研究をまとめた分析) / 限界: 専門の医療機関の患者では年9.6%、地域の住民では年4.9%と、調べた場所で差がありました。

Canevelliら(2016)[4]

2年以上追跡した研究をまとめると、MCIの人の18%が正常な状態に戻っていました。

対象: 2年以上追跡した25研究のメタ分析 / 限界: 医療機関の研究では8%、地域の住民の研究では25%と、差が大きくなりました。

Shimadaら(2019)[5]

愛知県大府市でMCIだった高齢者396人を4年間追うと、51.0%が正常な状態に戻っていました。本や新聞を読む、地域の集まりに出る、畑仕事や庭いじりをするといった活動をしている人ほど、戻りやすい関連がありました。

対象: 日本の65歳以上の地域住民396人 / 限界: 途中で調べられなかった人を推定で補うと34.3%でした。活動が回復の原因とまでは言えません。

03まだわかっていないこと

MCIから認知症に進む割合は、調べ方で大きく変わり、1つの数字には決まっていません。誰が進み、誰が戻るのかを前もって見分ける方法も、まだ確立していません。

  • 認知症に進む割合は、資料によって差があります(政府広報オンラインは年10〜15%と紹介[1]、メタ分析では年5〜10%[3])。
  • 生活の活動と回復の関連は、観察研究の結果です。活動を始めれば戻る、とまでは確かめられていません[5]。

04親と一緒にできること

まず気になった場面を書き留め、責めない言葉で親の気持ちを聞き、かかりつけ医か地域包括支援センターへの相談を一緒に決めましょう。お金はかかりません。

1

気になった場面をメモに残す

「いつ」「何を忘れたか」「暮らしに困ったか」を書きます。相談のときに、そのまま伝えられます。親をテストするような質問はしません。

目安 2〜4週間・1回1分

2

責めずに、親の気持ちから聞く

「また忘れたの?」ではなく、「最近、忘れっぽくて困ってることある?私も最近よく忘れるんだよね」と話しかけます。親が不安を話したら、まず聞き役になります。

目安 電話や帰省のとき・5分

3

相談先を一緒に決める

「今度の通院のとき、物忘れのことも先生に聞いてみない?心配だから私も一緒に行くよ」と誘います。かかりつけ医がいなければ、親の住む地域の地域包括支援センターが相談窓口です[1]。

目安 気になる場面が続いたとき

05よくある質問

親が同じ話を何度もするのは、認知症のはじまり?

政府広報オンラインは「同じことを何度も言う・問う」を、認知症を疑う言動の例に挙げています。ただ、これだけでは判断できません。いくつも当てはまる、暮らしに困りごとが出ている場合は、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談しましょう。

MCI(軽度認知障害)と言われたら、必ず認知症になるの?

必ずではありません。41の追跡研究のメタ分析では、認知症に進むのは1年あたり5〜10%ほどでした。25研究のメタ分析では、18%が正常な状態に戻っていました。

親が受診を嫌がるときはどうすればいい?

無理に連れて行かず、まず親の気持ちを聞きましょう。「認知症の検査」ではなく、いつもの通院のついでに先生に聞く形にすると、話しやすくなります。

出典

  1. 政府広報オンライン (2025). 知っておきたい認知症の基本. https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html
  2. 厚生労働省 (2024). 認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計(令和5年度老人保健事業推進費等補助金「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」九州大学 二宮利治 より作成). https://www.mhlw.go.jp/content/001279920.pdf
  3. Mitchell, A. J., & Shiri-Feshki, M. (2009). Rate of progression of mild cognitive impairment to dementia: meta-analysis of 41 robust inception cohort studies. Acta Psychiatrica Scandinavica, 119, 252-265. https://doi.org/10.1111/j.1600-0447.2008.01326.x
  4. Canevelli, M., Grande, G., Lacorte, E., Quarchioni, E., Cesari, M., Mariani, C., Bruno, G., & Vanacore, N. (2016). Spontaneous reversion of mild cognitive impairment to normal cognition: a systematic review of literature and meta-analysis. Journal of the American Medical Directors Association, 17, 943-948. https://doi.org/10.1016/j.jamda.2016.06.020
  5. Shimada, H., Doi, T., Lee, S., & Makizako, H. (2019). Reversible predictors of reversion from mild cognitive impairment to normal cognition: a 4-year longitudinal study. Alzheimer's Research & Therapy, 11, 24. https://doi.org/10.1186/s13195-019-0480-5