物忘れ・認知症

親が通帳や印鑑をよくなくす。年のせいか、認知症を疑う目安はどこか

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的資料2件を整理
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Photo: Culture Japon / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

帰省するたびに「通帳がない」「印鑑どこだっけ」と親が探している。物をなくすだけで、認知症とは言えません。ただ、政府広報オンラインは「しまい忘れ・置き忘れが増え、いつも探し物をしている」「財布・通帳などを盗まれたと人を疑う」を、認知症を疑う言動の例に挙げています。回数より、ほかの変化と重なるかを見ましょう。

3行でわかる

  1. 物忘れの自覚があり検査で問題のない高齢者が認知症になるのは、1年あたり約2.3%でした(28研究のまとめ)。
  2. 相談の目安は「いつも探し物をしている」「盗まれたと人を疑う」「お金の手続きのミスが増えた」が重なるときです。
  3. 責めずに一緒に探し、置き場所は親と決めます。気になる様子が続けば、かかりつけ医か地域包括支援センターへ。

01結論から言うと

通帳や印鑑をなくすことだけでは、認知症かどうかは判断できません。いつも探し物をしている、盗まれたと人を疑う、お金のミスが増えたなど、気になる言動が複数重なれば相談を考える目安です。

政府広報オンラインは、年齢による物忘れは体験の一部を忘れ、忘れた自覚があるもの、認知症による物忘れは体験そのものを忘れるものと整理しています[1]。これを通帳や印鑑に当てはめると、次のようになります(当メディアで当てはめたもので、診断の基準ではありません)。

うつや甲状腺の病気など、認知症に似た状態もあります[1]。自分たちで決めつけないことが大切です。

02研究とデータでわかっていること

物忘れを自分で気にしているだけの高齢者は、多くが認知症に進みません。一方、お金の管理の力は、認知症と診断される前の段階から落ち始めることがあります。

年2.3%物忘れの自覚があり検査で問題のない高齢者が、認知症になる1年あたりの割合(28研究・平均71.6歳、2014年)
約2倍物忘れの自覚がない人と比べた、認知症になるリスク(同じ分析)
25.0%軽いアルツハイマー型認知症の人で「物を盗られた」と思い込む症状があった割合(日本、56人、2009年)
66.7%同じ研究で、ひとり暮らしの人のうち、この症状があった割合(家族と同居の人は13.6%)

Mitchellら(2014)[2]

物忘れを自分で感じているが、検査では問題がない高齢者を追った28の研究をまとめました。認知症になったのは1年あたり2.33%で、物忘れの自覚がない人の約2.07倍でした。4年を超えて追った研究では、14.1%が認知症になっていました。

対象: 2万9723人(平均71.6歳)、平均4.8年の追跡 / 限界: 関連を見た追跡研究のまとめです。物忘れの自覚が認知症の原因という意味ではありません。

Triebelら(2009)[3]

軽い物忘れのある人(MCI=軽度認知障害)のうち、1年の間に認知症へ進んだ人は、進まなかった人や健康な人より、小切手帳の残高計算などお金の手続きの力が大きく落ちていました。小切手帳や銀行の明細の仕組みの理解は、落ちていませんでした。

対象: 米国、MCIの87人と健康な高齢者76人 / 限界: 小規模で、米国のお金の管理の仕方で調べた研究です。

Murayamaら(2009)[4]

日本の軽いアルツハイマー型認知症の人56人のうち25.0%に、物を盗られたと思い込む症状がありました。女性、ひとり暮らし、もともと神経質な性格の人に多いという関連がありました。著者らは、日本ではこれが最も多い思い込みの症状だとしています。

対象: 日本の医療機関の患者56人 / 限界: 人数が少なく、ひとり暮らしが原因とまでは言えません。

03まだわかっていないこと

物をなくす回数が月に何回なら相談すべきか、という研究上の基準はありません。通帳や印鑑の紛失そのものを調べた研究も、ほとんど見つかりませんでした。

  • 物をなくす頻度だけで、認知症の始まりを見分けられるか
  • 日本の通帳や印鑑の管理で、どの変化が最初に出やすいか(今回調べた研究は米国のものでした[3])
  • 物忘れの自覚がある人のうち、誰が認知症に進むのかを前もって見分ける方法[2]

04親と一緒にできること

なくしたことを責めず一緒に探し、置き場所は親と決めます。探し物や疑いが続くときは相談先へ。お金の管理が心配なら、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業も選択肢です。

1

責めずに、一緒に探す

「また?」ではなく「一緒に探そうか。私もよく物をなくすんだよね」と声をかけます。「盗られた」と言われても、すぐに否定せず「それは心配だね。まず一緒に探してみよう」と受け止めます。

目安 帰省や電話のとき

2

置き場所は親が決める

「通帳と印鑑、いつもどこに置くことにする?」と聞き、親が決めた場所を一緒に確かめます。子どもが勝手に預かったり、しまい直したりはしません。

目安 帰省のとき・10分

3

気になる場面をメモして相談する

いつ・何を探していたか、お金のミスがあったかを書き留めます。いくつか重なれば、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談できます[1]。見分け方は物忘れは年のせい?の記事や電話で同じ話をするときの記事にもまとめています。

目安 2〜4週間・1回1分

4

お金の管理の手伝いを、親と一緒に考える

厚生労働省の日常生活自立支援事業では、判断能力が不十分な人(契約の内容は理解できる人)が、社会福祉協議会との契約で、預金の出し入れなど日々のお金の管理を手伝ってもらえます[5]。利用料は実施する社会福祉協議会が決めます。お金の話の切り出し方は親とお金の話をいつするかを参考にしてください。

目安 物忘れが続くと感じたとき

05よくある質問

親が通帳や印鑑をよくなくすのは、認知症のはじまり?

それだけでは判断できません。政府広報オンラインは「しまい忘れ・置き忘れが増え、いつも探し物をしている」を認知症を疑う言動の例に挙げつつ、思い当たる言動が複数ある場合に相談するようすすめています。

親が「通帳を盗まれた」と言う。どうすればいい?

すぐに否定せず、まず一緒に探します。政府広報オンラインは「財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う」を、認知症を疑う言動の例に挙げています。続くようなら、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談しましょう。

物忘れを本人が気にしているなら、大丈夫?

多くは認知症に進みません。28研究のまとめでは、物忘れの自覚があり検査で問題のない高齢者が認知症になるのは1年あたり約2.3%でした。ただ、自覚のない人の約2倍なので、気になる変化は記録しておきましょう。

出典

  1. 政府広報オンライン (2025). 知っておきたい認知症の基本. https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html
  2. Mitchell, A. J., Beaumont, H., Ferguson, D., Yadegarfar, M., & Stubbs, B. (2014). Risk of dementia and mild cognitive impairment in older people with subjective memory complaints: meta-analysis. Acta Psychiatrica Scandinavica, 130(6), 439-451. https://doi.org/10.1111/acps.12336
  3. Triebel, K. L., Martin, R., Griffith, H. R., et al. (2009). Declining financial capacity in mild cognitive impairment: A 1-year longitudinal study. Neurology, 73(12), 928-934. https://doi.org/10.1212/WNL.0b013e3181b87971
  4. Murayama, N., Iseki, E., Endo, T., et al. (2009). Risk factors for delusion of theft in patients with Alzheimer's disease showing mild dementia in Japan. Aging & Mental Health, 13(4), 563-568. https://doi.org/10.1080/13607860902774402
  5. 厚生労働省. 日常生活自立支援事業. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/index.html