体と健康

親の転倒を防ぐには?家の中で多い場所と、効果が確かめられた対策

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わかっている度 ★★★ 高い研究3本・公的資料3件を整理出典照合済み(2026-10-07)
玄関の段差と手すり
Photo: Dietmar Rabich / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

親の転倒を防ぐいちばん確かな方法は、バランスと足腰をきたえる運動です。60歳以上を対象にした試験のまとめでは、運動で転ぶ回数が23%減りました。家の中の片づけや手すりも、一度転んだことがある親には効果がはっきりしています。

3行でわかる

  1. 東京で救急搬送された高齢者の「ころぶ」事故は、約6割が住まいで起きていました(2024年)。いちばん多い場所は居室・寝室です。
  2. バランスの運動を中心にした運動は、転ぶ回数を減らします(確かさの高い結果)。
  3. 家の危ない所を直す対策は、最近転んだ・入院したなど、転びやすい人で特に効果がありました。

01結論から言うと

親の転倒対策は「運動」と「住まいの見直し」の2本立てが基本です。運動は誰にでも効果があり、住まいの見直しは転んだことのある親で特に効きます。

転倒は、ただのケガで終わらないことがあります。日本で介護が必要になった主な原因のうち、「骨折・転倒」は14.6%で3番目に多い原因でした(2025年)[2]。

一方で、転倒は防げる部分が大きいこともわかっています。世界中のくじ引き試験(効果を公平に比べる実験)をまとめた研究で、運動にも住まいの見直しにも効果が確かめられました[3][4]。

ただし、親に「転ぶと危ないから」と言うと、年寄り扱いされたと感じて受け入れにくくなることがあります[5]。伝え方は04で紹介します。

02研究とデータでわかっていること

高齢者が転んで救急車で運ばれる場所は、住まいの中、特に居室・寝室が最多です。運動は転ぶ回数を2割以上減らし、住まいの見直しは転びやすい人で約4割減らしました。

73,500人「ころぶ」事故で救急搬送された65歳以上(東京消防庁管内、2024年)
14.6%介護が必要になった主な原因のうち「骨折・転倒」の割合(日本、2025年)
23%減運動による転ぶ回数の減少(60歳以上・59研究のまとめ、2019年)
38%減転びやすい人での、住まいの危ない所を直す対策の効果(9研究のまとめ、2023年)

東京消防庁の2024年のデータでは、「ころぶ」事故で運ばれた65歳以上73,500人のうち、42,180人が住宅などの住まいで転んでいました。その9割以上は屋内です[1]。住まいの中で多かった場所は次のとおりです。

割合は、東京消防庁の人数をもとに当メディアで計算しました(東京都のうち稲城市・島しょ地区を除く地域、65歳以上、2024年)[1]。階段や玄関より、ふだん長くいる部屋のほうがずっと多いのが特徴です。また、転んで運ばれた高齢者の約4割が、入院が必要な「中等症」以上でした[1]。

Sherringtonら / Cochrane(2019)[3]

運動をした人は、しなかった人に比べて転ぶ回数が23%少なくなりました。1回以上転んだ人の数も15%減りました。バランスや立ち座りなど動作の練習が中心の運動では、転ぶ回数が24%減りました。

対象: 25か国、自宅で暮らす60歳以上(平均76歳)の108の試験 / 限界: ウォーキングだけ・筋トレだけ・ダンスの効果ははっきりしませんでした。

Clemsonら / Cochrane(2023)[4]

家の転びやすい所を点検して直す対策(段差に滑り止めを付ける、物を床に置かないなど)は、全体で転ぶ回数を26%減らしたと考えられます。最近転んだ・入院した・日常生活に手助けが必要といった転びやすい人では38%減りました。

対象: 10か国、自宅で暮らす60歳以上(平均78歳)の22の試験 / 限界: 転びやすさで選ばなかった人たちでは、減る効果は見られませんでした。

Yardleyら(2006)[5]

高齢者は「転倒予防」のアドバイスを、役に立つとは思っても「自分向けではない」「見下されている」と受け取りやすいことがわかりました。バランスがよくなる良い面を伝えるほうが受け入れられやすい、と著者らは考えています。

対象: 英国の研究チームによる61〜94歳の66人への聞き取り / 限界: 聞き取りの研究で、伝え方を変えて転倒が減るかは確かめていません。

03まだわかっていないこと

運動の種類ごとの差や、転んだことのない元気な親に住まいの見直しが効くかは、まだはっきりしていません。日本の家の作りに合わせた試験も多くありません。

  • ウォーキングだけ、筋トレだけで転倒が減るか(研究の結果がそろっていません)[3]
  • 転びやすさで選ばない人たちへの住まいの見直しの効果(効果は見られませんでした)[4]
  • 運動で骨折や入院がどこまで減るか(確かさの低い結果にとどまります)[3]
  • 畳や布団など、日本の住まいに絞った効果(2つのまとめからは読み取れません)

04親と一緒にできること

「転ばないように」ではなく「好きなことを長く続けるために」と伝えるのがコツです。まず一緒に体を動かし、次に居室・寝室と玄関を一緒に見直します。

1

「自分のため」を入り口に、運動に誘う

「最近、私も足腰が気になってきて。一緒にできる体操ないかな」と、自分ごととして誘います。片足立ちや椅子からの立ち座りなど、バランスの練習が中心の運動を選びます。

目安 帰省や電話のついでに5分から

2

居室・寝室と玄関を、一緒に歩いて見直す

床の物や通路をまたぐ電源コード、玄関の段差を見ます。「私が来たとき足を引っかけそうで」と、自分や孫を理由にすると角が立ちにくくなります。東京消防庁は、段差のある場所や玄関に手すりや滑り止めを付けること、電源コードが通路にかからないようにすることを勧めています[1]。

目安 次の帰省で15分ほど

3

座って着替える・つかまって立つ習慣を話題にする

東京消防庁は、着替えるときは腰をかけ、立ち上がるときは近くの物につかまることを勧めています[6]。「テレビでやってたんだけど」と、聞いた話として伝えると押しつけになりにくくなります。

目安 会話の中で1回

4

転んだことがあれば、相談先に一緒につなぐ

この1年で転んだ・入院したことがある親は、住まいの見直しの効果が大きい人です[4]。「去年転んだときのこと、一度かかりつけの先生に話してみない?」と声をかけ、住まいの相談はお住まいの地域の地域包括支援センターでもできます。

目安 次の受診の前に

05よくある質問

高齢の親が家の中で転びやすい場所はどこ?

東京消防庁の2024年のデータでは、居室・寝室が最も多く、次いで玄関・勝手口、廊下・通路でした。住まいで転んで運ばれた65歳以上の約7割が居室・寝室です。

ウォーキングをしていれば転倒は防げる?

ウォーキングだけで転倒が減るかは、研究でははっきりしていません。転ぶ回数を減らす効果が確かめられているのは、バランスや動作の練習が中心の運動です。

手すりや片づけを勧めると、親が年寄り扱いされたと嫌がらない?

嫌がられることはあります。英国の研究でも、高齢者は転倒予防の助言を「自分向けではない」と受け取りやすいとわかりました。「好きなことを続けるため」「自分も来たとき使いやすいように」と、親の暮らしを応援する言い方にします。

出典

  1. 東京消防庁. 救急搬送データからみる高齢者の事故(令和6年中のデータ、2026年3月更新). https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/kkhansoudeta.html
  2. 厚生労働省. 2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/dl/05.pdf
  3. Sherrington C, et al. (2019). Exercise for preventing falls in older people living in the community. Cochrane Database of Systematic Reviews, CD012424. https://doi.org/10.1002/14651858.CD012424.pub2
  4. Clemson L, et al. (2023). Environmental interventions for preventing falls in older people living in the community. Cochrane Database of Systematic Reviews, CD013258. https://doi.org/10.1002/14651858.CD013258.pub2
  5. Yardley L, et al. (2006). Older people's views of advice about falls prevention: a qualitative study. Health Education Research, 21(4), 508-517. https://doi.org/10.1093/her/cyh077
  6. 東京消防庁. リーフレット「ころんで救急搬送、実は、こんなに多い!」(令和5年中のデータ). https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000093870.pdf