介護とお金

親が入院した。退院後の暮らしをどう準備する?家族が確認しておきたいこと

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的資料2件を整理
病室のベッド
Photo: 玄史生 / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

親が入院したら、退院後の暮らしの準備は入院中から始めるのが基本です。高齢の患者の退院計画に家族を加えた試験のまとめでは、90日以内の再入院が25%少なくなりました。家族ができることは、病院の窓口に早めにつながること、退院の説明を親と一緒に聞くことです。

3行でわかる

  1. 一人ひとりに合わせた退院計画は、入院日数と再入院をわずかに減らすことが試験のまとめで確かめられています。
  2. 家族を退院計画に加えると、高齢の患者の90日以内の再入院が25%少なくなりました。
  3. 入院した高齢者の約30%は、退院時に入院前より日常の動作ができなくなっていました。暮らし方の見直しを前提に準備します。

01結論から言うと

退院後の準備は、入院がわかった時点で病院の入退院支援の窓口に家族がつながることから始めます。親の希望を聞き、退院の説明を一緒に聞くことが、再入院を減らす手がかりになります。

高齢になると入院は長くなりがちです。2023年9月に全国の病院・診療所を退院した75歳以上の平均在院日数は39.0日でした(精神疾患などの長い入院も含む)。肺炎に限ると31.6日です[1]。

1か月ほど入院すると、体力や暮らし方が入院前と変わることがあります。病院には、退院後の生活に向けて患者と家族を支える仕組みがあります。家族がその仕組みに早く加わるほど、準備に使える時間が増えます。

02研究とデータでわかっていること

入院した高齢者の約3割は退院時に日常動作が落ちています。家族を加えた退院計画は再入院を25%減らし、個別の退院計画は入院日数と再入院をわずかに減らしました。

39.0日75歳以上の退院患者の平均在院日数(日本、2023年9月)
約30%入院で日常動作が自分でできなくなった65歳以上の割合(15研究のまとめ、2020年)
25%減家族を退院計画に加えたときの90日以内の再入院(15試験のまとめ、2017年)
19.6%退院後30日以内に再入院した人(米国の主に高齢者が加入する公的医療保険、2003〜2004年)

Loydら(2020)[3]

急性の病気やけがで入院した65歳以上のうち、約30%が退院時に入院前より日常動作(着替え・入浴・移動など)が自分でできなくなっていました。入院日数が短くなった最近の研究でも、この割合はほとんど変わっていませんでした。

対象: 15研究・計7,375人(米国11研究、イタリア・フランス・イスラエル) / 限界: 研究ごとに動作の測り方が異なり、結果のばらつきが大きいです。

Rodakowskiら(2017)[4]

退院計画に家族などの介護者を加えると、90日以内の再入院が25%、180日以内が24%少なくなりました。介護者を加える方法には、薬の確認、実際にやってみせる練習、説明を自分の言葉で言い直してもらう確認、書面での説明、地域の支援へのつなぎなどがありました。

対象: 平均65歳を超える患者のくじ引き試験15本(米国7本、オーストラリア・台湾・フランス・英国など8本) / 限界: 心不全や脳卒中の試験が多く、どの病気にも同じ効果があるとは限りません。

Gonçalves-Bradleyら / Cochrane(2022)[5]

一人ひとりに合わせた退院計画を立てると、病気で入院した高齢の患者の入院日数が平均0.73日短くなり、平均3か月ほどの間の再入院も少なくなりました(リスク比0.89)。一方で、死亡率や体の状態には、ほとんど差がありませんでした。

対象: 33のくじ引き試験・計12,242人(平均年齢60〜84歳の試験が中心) / 限界: 効果は小さく、確かさは「中程度」です。費用への影響ははっきりしません。

Jencksら(2009)[6]

米国で退院した人の19.6%が30日以内に、34.0%が90日以内に再入院していました。病気で自宅などへ退院して30日以内に再入院した人の約半数(50.2%)は、退院から再入院までの間に診療所を受診した記録がありませんでした。

対象: 米国の主に高齢者が加入する公的医療保険(メディケア)で退院した約1,186万人、2003〜2004年 / 限界: 米国の古いデータで、受診しなかったことが再入院の原因とは言えません。

日本でも、2026年度の診療報酬の見直しで、病院の入退院支援の対象となる「退院が難しくなりやすい人」に、家族や親族と連絡がとりにくい人が加わりました。要介護状態が疑われるのに介護認定を申請していない人も、もともと対象です。病院は、家族の面会を正当な理由なく妨げないこととされ、面会は円滑な退院支援にも大切だと示されました[2]。

03まだわかっていないこと

家族の関わり方のうち、どの部分がいちばん効くのかはまだわかっていません。日本の病院で、家族の関わりが再入院を減らすかを確かめた試験も多くありません。

  • 説明の同席・書面・練習など、家族の関わり方のどれが効いているか(試験ごとに組み合わせが違います)[4]
  • 退院計画で、退院後の体の状態や生活の質がよくなるか(はっきりした差は見られませんでした)[5]
  • 離れて暮らす家族が電話やビデオ通話で関わる場合にも、同じ効果があるか

04親と一緒にできること

入院がわかったら病院の窓口に家族の連絡先を伝え、親の希望を聞きます。退院前の説明を一緒に聞き、退院後の最初の受診と家の中の動きを確かめます。

1

病院の入退院支援の窓口に、家族の連絡先を伝える

病棟の看護師に「退院後のことを相談できる窓口はどこですか」と聞きます。家族と連絡がとりにくいことは、退院が難しくなる要因とされています[2]。離れて住んでいても、連絡がつく時間帯を伝えておきます。

目安 入院がわかってから数日のうちに

2

退院後の暮らし方を、親に聞く

「家に帰ったら、どんなふうに過ごしたい?困りそうなことはある?」と、決めるのは親だという前提で聞きます。介護認定をまだ申請していなければ、病院の窓口かお住まいの地域の地域包括支援センターに相談します。申請の流れは要介護認定の記事にまとめています。

目安 面会や電話で15分

3

退院の説明を、一緒に聞く

「退院のときの説明、私も一緒に聞いていい?」と親に声をかけます。薬の飲み方、気をつける症状、次の受診日、困ったときの連絡先を書面でもらい、聞いた内容を自分の言葉で言い直して確かめます[4]。薬が多いときは薬の飲み合わせの記事も参考になります。

目安 退院の数日前

4

退院後の最初の受診日と、家の中の動きを確かめる

退院後の最初の受診日を、家族のカレンダーにも書いておきます。体力が落ちていることがあるので[3]、寝室からトイレまでの通り道に物や段差がないかを一緒に見ます。家の中の見直し方は転倒を防ぐ記事にあります。

目安 退院の前後1週間

05よくある質問

親が入院したら、退院の準備はいつから始めればいい?

入院したら早めに始めるのが基本です。病院には入退院を支援する仕組みがあり、介護認定を申請していない人や家族と連絡がとりにくい人は、退院が難しくなりやすい人として支援の対象になります。家族の連絡先を病院に伝えることから始めます。

退院すると、入院前より体が弱っていることはある?

あります。65歳以上の入院患者を対象にした研究のまとめでは、約30%が入院前より着替えや移動などの日常動作が自分でできなくなっていました。退院直後は、入院前と同じ暮らしに戻れるとは限らない前提で準備します。

離れて住んでいて、退院の説明に立ち会えない場合は?

電話やビデオ通話で同席できないか病院に相談してみます。難しければ、薬・注意すること・次の受診日・困ったときの連絡先を書いた紙を親から写真で送ってもらい、家族も同じ情報を持っておきます。

出典

  1. 厚生労働省. 令和5年(2023)患者調査の概況(退院患者の平均在院日数等). https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/dl/heikin.pdf
  2. 厚生労働省保険局医療課. 令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】(令和8年3月10日版). https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001745822.pdf
  3. Loyd C, et al. (2020). Prevalence of hospital-associated disability in older adults: a meta-analysis. Journal of the American Medical Directors Association, 21(4), 455-461.e5. https://doi.org/10.1016/j.jamda.2019.09.015
  4. Rodakowski J, et al. (2017). Caregiver integration during discharge planning for older adults to reduce resource use: a metaanalysis. Journal of the American Geriatrics Society, 65(8), 1748-1755. https://doi.org/10.1111/jgs.14873
  5. Gonçalves-Bradley DC, et al. (2022). Discharge planning from hospital. Cochrane Database of Systematic Reviews, CD000313. https://doi.org/10.1002/14651858.CD000313.pub6
  6. Jencks SF, Williams MV, Coleman EA. (2009). Rehospitalizations among patients in the Medicare fee-for-service program. The New England Journal of Medicine, 360(14), 1418-1428. https://doi.org/10.1056/NEJMsa0803563