運転と免許

親の運転が心配なときに見るサイン。同乗して確かめるポイント

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的資料2件を整理出典照合済み(2026-10-07)
車の運転席
Photo: Natalka Ukraine / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

帰省して親の車に乗ったとき、「あれ?」と思う瞬間があった。でも、それが年相応なのか、気にすべき変化なのか、わからない。そんな迷いに、研究でわかっている「運転の変化のサイン」から答えます。

3行でわかる

  1. 秋田県の65歳以上311人の研究では、軽度認知障害の疑いがある人の15.6%が「同乗者に最近運転が荒くなったと言われる」と答えました(疑いなしは0.9%)。
  2. 右折や合流が難しい、停めた場所を忘れる、ウインカーを忘れるといった変化も、疑いがある人で多く見られました。
  3. サインは診断ではありません。一度のミスで判断せず、変化が重なるときに、責めずに話すきっかけにします。

01結論から言うと

同乗して見るのは、一度のミスより「前と比べた変化」です。右折や合流のぎこちなさ、ウインカーの出し忘れ、駐車場で車の場所を忘れるなどが重なるなら、親と話すきっかけにします。

ヒヤッとする場面は、年齢に関係なく誰にでもあります。一度だけで「もう危ない」と決めるのは早すぎます。

大切なのは、以前の親の運転と比べて変わったかどうかです。研究でも、運転の変化は物忘れなど頭の働きの変化と関連して現れることがわかってきました。

親自身を守る視点も大切です。日本の2016〜2020年のデータでは、85歳以上の男性が起こした死亡事故で亡くなった人のうち、67%は運転していた本人でした[5]。

02研究とデータでわかっていること

日本の研究では、軽度認知障害の疑いがある人ほど、右折の難しさや停めた場所を忘れることなど、運転の変化を多く自覚していました。米国では、運転する回数や範囲が年々狭まる変化も見られました。

15.6%「いつも乗せる人に、最近運転が荒くなったと言われる」。疑いなしは0.9%(秋田県の65歳以上、2023〜2024年)
40.3%「大きな駐車場で、車を停めた場所がわからなくなることが多い」。疑いなしは15.0%(同上)
22.1%「大きな交差点での右折が難しい」。疑いなしは5.6%(同上)
28.6%「右左折のとき、歩行者や自転車に急に気づいて驚く」。疑いなしは5.6%(同上)

Kodamaら(2025)[1]

運転の変化を25項目で尋ねるチェックリストを使いました。軽度認知障害(認知症の手前の段階)の疑いがある人は平均5.9項目、疑いのない人は2.8項目が当てはまりました。「ブレーキのタイミングが遅くなった」は26%と3.4%、「ブレーキとアクセルを何度か踏み間違えた」は11.7%と1.3%でした。

対象: 秋田県3市町の65歳以上311人(疑いあり77人・なし234人) / 限界: 本人が答えた自己申告で、一時点の調査です。目安の5.5点で区切っても、疑いのある人を見つけられたのは45.5%でした。

Chenら(2025)[2]

車に記録装置をつけ、最長40か月、毎日の運転を記録しました。軽度認知障害の人は、運転の回数、行き先の複雑さ、出かける範囲が年々狭まる傾向がありました。運転の記録から、軽度認知障害の人とそうでない人をある程度見分けられました。

対象: 米国の地域に住む高齢の運転者298人(平均75.1歳、うち軽度認知障害56人) / 限界: 対象者の多くは白人で学歴が高く、別の集団での確認はまだです。

警察庁「認知機能検査に関するQ&A」[3]

記憶力や判断力が低下すると、信号無視や一時停止をしない違反、進路を変えるときの合図の遅れが見られる傾向があると説明しています。

補足: 75歳以上で信号無視などの特定の違反をすると、臨時の認知機能検査を受けることになります(警察庁)。

03まだわかっていないこと

家族が同乗して気づいたサインで、親の事故をどこまで予測できるかは、まだわかっていません。今の研究は本人の自己申告や車の記録が中心で、運転をやめる基準になるものでもありません。

  • 家族が同乗して見たサインと、その後の事故との関係(家族の観察を調べた研究は少ない)
  • チェックリストで当てはまらなくても安心とは言えないこと(秋田県の研究では、疑いのある人の半分以上を見逃した)
  • 何項目当てはまったら運転を控えるべきか、という基準

04親と一緒にできること

同乗は「テスト」ではなく、ふだんの用事のついでに。運転中は口を出さず、降りてから「心配」を主語に話します。気になる変化が続くときは、練習や相談の場につなぎます。

1

ふだんの用事で、助手席に乗せてもらう

試すような雰囲気にせず、いつもの買い物や通院の道で乗せてもらいます。「今日の買い物、お母さんの車で連れていってくれる?」

目安 帰省のときに・30分ほど

2

運転中は口を出さず、ポイントだけ見る

運転中の指摘は、かえって危険です。下の「同乗で見るポイント」を頭に入れ、気づいたことは覚えておきます。前回の帰省と比べて変わったかを意識します。

目安 乗っている間

3

降りてから、自分の気持ちとして伝える

「さっきの右折、ちょっとヒヤッとしちゃった。最近、運転していて怖いと思うことある?」と、責めずに親の感じ方を先に聞きます。

目安 降りた後・落ち着いて

4

変化が続くなら、練習や相談につなぐ

研究では、運転の練習で65歳以上の運転技能が上がり、事故も減りました。技能は実際の車での練習でより上がりました[4]。運転の不安は警察の安全運転相談(#8080)でも相談できます[6]。「一度プロに見てもらって、お墨付きをもらうのはどう?」

目安 次の帰省までに

同乗で見るポイント(秋田県の研究で疑いのある人に多かった項目と、警察庁の説明をもとに当メディアで整理)
  • 大きな交差点での右折や、合流・車線変更がぎこちない
  • 右左折や車線変更でウインカーを出し忘れる
  • 信号や一時停止を見落とす
  • 曲がるときに、歩行者や自転車に気づくのが遅れる
  • よく知っている道で、曲がる場所を間違える
  • 駐車場で、車を停めた場所がわからなくなる
  • 運転の後、以前より疲れている様子がある

物忘れなどほかの変化も気になる場合は、かかりつけ医かお住まいの地域の地域包括支援センターに相談してください。物忘れと認知症のはじまりの違いも参考になります。運転をやめることを考える段階なら、免許返納の切り出し方の記事もあります。

05よくある質問

親の運転で一度ヒヤッとしたら、運転をやめてもらうべき?

一度のミスだけで決める必要はありません。ヒヤッとする場面は誰にでもあります。研究で手がかりになっているのは、以前と比べた変化や、いくつかのサインが重なることです。気になったら、まず親の感じ方を聞くところから始めましょう。

同乗して気になるサインがあったら、認知症なの?

いいえ、サインだけで認知症かどうかはわかりません。秋田県の研究でも、チェックリストは軽度認知障害を見分ける目安の一つにとどまっています。物忘れなど気になる変化が続くときは、かかりつけ医かお住まいの地域の地域包括支援センターに相談してください。

親が助手席に乗せるのを嫌がるときは?

無理に乗り込まず、用事を頼む形にするとよいでしょう。秋田県の研究のチェックリストは本人が答える形でした。「最近、運転していて疲れることある?」と、本人に振り返ってもらう聞き方もあります。

運転の練習で本当に変わるの?

65歳以上を対象にしたランダム化比較試験のまとめでは、運転の練習で技能が上がり、2研究の分析で事故も減りました。技能を上げる効果は、教室などより実際の車での練習のほうが大きくなりました(Ishiiら、2023年)。

出典

  1. Kodama, A., Nakamura, T., Azuma, H., Mouri, Y., Tanaka, Y., Tochigi, H., & Ota, H. (2025). Characteristics of Driving Risk Checklist-25 among community-dwelling older adults with mild cognitive impairment. Geriatrics & Gerontology International, 25(9), 1194-1199. https://doi.org/10.1111/ggi.70127
  2. Chen, L., Carr, D. B., Singh, R. K., Bekena, S., Zhu, Y., Taylor, K., Trani, J. F., & Babulal, G. M. (2025). Association of Daily Driving Behaviors With Mild Cognitive Impairment in Older Adults Followed Over 10 Years. Neurology, 105(12), e214440. https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000214440
  3. 警察庁. 認知機能検査に関するQ&A(2026年10月7日閲覧). https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/faq_r03.html
  4. Ishii, H., Okubo, Y., Doi, T., et al. (2023). Effect of driving training on car crashes and driving skills in older people: A systematic review and meta-analysis. Geriatrics & Gerontology International, 23(11), 771-778. https://doi.org/10.1111/ggi.14702
  5. Ichikawa, M., Inada, H., & Nakahara, S. (2024). Revisiting Older Drivers' Risks of At-fault Motor Vehicle Collisions in Japan. Journal of Epidemiology, 34(6), 295-300. https://doi.org/10.2188/jea.JE20230217
  6. 警察庁. 高齢運転者対策の概要. https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/pdf/r08_koureiuntengaiyou.pdf