運転と免許

親に免許返納をどう切り出す?研究でわかった傷つけない話し方と準備

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的資料3件を整理出典照合済み(2026-10-07)
田舎道のバス停
Photo: Cameron Butler / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

親の運転が心配でも、どう切り出せばいいか迷うのは当然です。免許は、親にとって自由と誇りそのものだからです。データからは、75歳を過ぎた運転には注意が必要なことと、運転をやめた後も出かけられるかが親の健康に関わることが見えてきます。

3行でわかる

  1. 日本の75歳以上の運転者による死亡事故は、免許保有者当たりで75歳未満の約2倍です(警察庁、2025年)。
  2. 一方で、運転をやめた高齢者は、うつ症状の起こりやすさ(オッズ比)が約1.9倍だったという研究のまとめがあります。
  3. 電車・バス・自転車で出かけ続けた人は、リスクの高まりが小さめでした。移動手段の準備が切り出す前の第一歩です。

01結論から言うと

「返納して」と迫るより、親の気持ちを聞き、運転しない日の移動手段を一緒に用意してから決めるのがよい方法です。返納は奪うものではなく、親と一緒に選ぶものです。

75歳を過ぎると、運転操作のミスによる死亡事故の割合が高くなります。これは統計ではっきりしています。

ただ、運転をやめることにも健康上の影響があります。外出が減ると、心と体の元気が落ちやすいからです。

だからこそ、「やめるかどうか」だけを話すのではなく、「やめた後も出かけられるか」をセットで考えます。

02研究とデータでわかっていること

75歳以上の運転では、ペダルの踏み違いなど操作のミスが目立ちます。一方、運転をやめた人ではうつ症状や要介護のリスクが高かったという研究が複数あります。

約2倍免許保有者10万人当たりの死亡事故。75歳以上4.8件、75歳未満2.5件(日本・2025年・警察庁)
31件75歳以上の自動車運転者による死亡事故363件のうち、ブレーキとアクセルの踏み違い(日本・2025年)
約1.9倍運転をやめた人のうつ症状のオッズ比(起こりやすさの比。55歳以上、5研究をまとめた分析、2016年)
2.16倍運転をやめ、人に乗せてもらうだけになった人の要介護認定(または死亡)のリスク(日本・65歳以上、2010〜2016年)

警察庁(2026年公表、2025年のデータ)[1]

75歳以上の死亡事故の原因は「操作不適」が最も多く、その割合は75歳未満の約3.1倍でした。ブレーキとアクセルの踏み違いは、75歳以上で31件、75歳未満で15件でした。

対象: 日本の自動車運転者による死亡事故(75歳以上363件、75歳未満1,578件) / 限界: 事故の件数で、個人ごとの運転の上手さを示すものではありません。

Chihuriら(2016)[4]

16本の研究を整理すると、運転をやめることは、全体的な健康や、体の働き・人づきあい・認知機能の低下と関連していました。5本をまとめた分析では、うつ症状のオッズ比(起こりやすさの比)は1.91でした。

対象: 55歳以上の運転者を調べた16本の研究 / 限界: 観察研究のため、運転をやめたことが原因とまでは言い切れません。

Hiraiら(2020)[5]

運転をやめた人は、続けた人より要介護認定(または死亡)のリスクが高いという関連がありました。電車・バス・自転車を使っていた人は1.69倍、人に乗せてもらうだけの人は2.16倍でした。

対象: 愛知県4市町の65歳以上2,844人(2010〜2016年に追跡) / 限界: 運転をやめた人は140人と少なく、もともとの体調の差を完全には除けていません。

03まだわかっていないこと

「どう話せば親が納得して返納するか」を比べた研究は、まだほとんどありません。何歳で返納するのがよいかという答えも、研究では出ていません。

  • 家族の切り出し方の違いで、結果がどう変わるか(今ある研究は家族への聞き取りが中心)
  • 話し合いの材料を渡すと返納につながるか(米国の70歳以上301人の試験では迷いは減ったが、多くの人は運転を続けた)[7]
  • 日本の家族を対象にした、切り出し方の研究

04親と一緒にできること

移動手段を先に調べる、「心配」を主語に話す、段階的に減らす。この3つを、親が決める形で進めるのが基本です。

1

運転しない日の移動手段を一緒に調べる

買い物と通院の行き方を、電車・バス・家族の送迎などで書き出します。「もし車を使えない日があったら、病院はどう行こうか。一緒に調べておかない?」

目安 帰省のとき・30分

2

「心配」を主語にして話す

運転の腕を責めずに、自分の気持ちとして伝えます。「お父さんの運転が下手だと言いたいんじゃないの。私が心配で眠れないときがあるんだ」

目安 落ち着いて話せる日に

3

いきなりゼロにせず、段階を親に選んでもらう

夜や雨の日は運転しない、遠出は控えるなど、できる範囲を親に決めてもらいます。安全運転を支える装置がある車に限るサポートカー限定免許(令和4年=2022年に導入)も選択肢です[2]。「次の免許の更新のときに、どうするか一緒に決めようか」

目安 更新の半年前から

4

返納した後も、出かける予定を一緒に作る

週1回の買い物や趣味の集まりなど、外出の予定を続けます。運転をやめた後の体調や物忘れで気になることがあれば、かかりつけ医か、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談できます。

目安 返納後も週1回以上

オーストラリアの家族156人への調査では、前向きな言葉で話を始めることがすすめられています[6]。返納後は、運転経歴証明書を本人確認書類として使えます[3]。

05よくある質問

親が免許返納を嫌がるときはどうすればいい?

無理に決めさせず、まず「心配している」気持ちと、運転しない日の移動手段を一緒に考える話から始めましょう。夜や雨の日だけ運転を控えるなど、段階的に減らす方法もあります。オーストラリアの家族156人の調査でも、前向きな言葉で話を始めることがすすめられています。

免許を返納したら身分証明書はどうなるの?

自主返納から5年以内なら、運転経歴証明書の交付を受けられます。平成24年(2012年)4月1日以降に交付されたものは、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます(警察庁、2026年10月時点)。申請場所などは各都道府県の運転免許センター等に確認してください。

75歳以上の免許更新では何があるの?

更新期間が満了する日に75歳以上の人は、認知機能検査を受けます(平成21年=2009年に導入)。一定の違反歴がある75歳以上の人は、運転技能検査も受けます(令和4年=2022年に導入)。更新のお知らせが届く時期は、家族で話すきっかけにもなります。

免許を返納すると親が弱ってしまわない?

運転をやめた人は、運転を続ける人より介護保険の認定を受ける(または亡くなる)リスクが高いという日本の研究があります。ただし電車・バス・自転車で出かけ続けた人では、リスクの高まりが小さめでした。返納後も外出を続けられる準備が大切です。

出典

  1. 警察庁交通局 (2026). 令和7年における交通事故の発生状況について. https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R07bunseki.pdf
  2. 警察庁. 高齢運転者対策の概要. https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/pdf/r08_koureiuntengaiyou.pdf
  3. 警察庁. 運転免許証の自主返納について. https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/jishuhennou.html
  4. Chihuri, S., Mielenz, T. J., DiMaggio, C. J., Betz, M. E., DiGuiseppi, C., Jones, V. C., & Li, G. (2016). Driving Cessation and Health Outcomes in Older Adults. Journal of the American Geriatrics Society, 64(2), 332-341. https://doi.org/10.1111/jgs.13931
  5. Hirai, H., Ichikawa, M., Kondo, N., & Kondo, K. (2020). The Risk of Functional Limitations After Driving Cessation Among Older Japanese Adults: The JAGES Cohort Study. Journal of Epidemiology, 30(8), 332-337. https://doi.org/10.2188/jea.JE20180260
  6. Veerhuis, N., Harada, T., Murray, K., Andrew, C., Traynor, V., & Randle, M. (2023). "The Challenge is Not to Make Her Feel Old and Bad": Exploring Australian Family Member Experiences of Conversations About Driving With Older Adults Using an Online Survey. Journal of Applied Gerontology, 42(8), 1830-1839. https://doi.org/10.1177/07334648231162696
  7. Betz, M. E., Hill, L. L., Fowler, N. R., DiGuiseppi, C., Han, S. D., Johnson, R. L., Meador, L., Omeragic, F., Peterson, R. A., & Matlock, D. D. (2022). "Is it time to stop driving?": A randomized clinical trial of an online decision aid for older drivers. Journal of the American Geriatrics Society, 70(7), 1987-1996. https://doi.org/10.1111/jgs.17791