介護とお金

介護離職を防ぐには?仕事と親の介護を両立するデータと、使える制度

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的資料3件を整理
机の上のカレンダー
Photo: Nesnad / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

親の介護が始まりそうなとき、「仕事を辞めるしかないのでは」と考えるのは自然なことです。データからは、介護をしながら働く人は365万人いて、辞めた人の多くはその後も仕事に就いていないことが見えてきます。辞める前に、使える制度と順番を知っておくと選べることが増えます。

3行でわかる

  1. 2022年、介護・看護のために過去1年で仕事を辞めた人は10.6万人。そのうち8.3万人は調査時点で仕事に就いていませんでした(総務省)。
  2. 研究では、介護の時間が長い人ほど仕事を辞めやすいという関連がありました。日本の50代女性では、週5時間以上の介護が始まったときに離職が増えていました。
  3. 介護休業(通算93日)は、自分が介護するための休みではなく、介護保険などで「働きながら回る体制」を作るための休みです。

01結論から言うと

介護離職を防ぐ鍵は、自分の介護時間を増やしすぎないことです。早めに会社と地域包括支援センターに相談し、介護休業を「体制づくり」に使うのが基本です。

研究では、介護をしていても多くの人は働き続けています。辞めやすくなるのは、介護の時間が長く、負担が重い人でした。

だからこそ「自分が全部やる」形を早めに避けることが大切です。介護保険のサービス、きょうだいや親戚、会社の制度を組み合わせて、介護の時間を分け合います。

親の暮らし方を決めるのは親自身です。子どもの仕事の事情も含めて、親と一緒に「無理のない形」を考えていきます。

02研究とデータでわかっていること

日本では介護しながら働く人が増えています。一方、介護で辞めた人の多くは再就職していません。研究では、介護の時間が長いほど離職と関連していました。

365万人介護をしている人のうち仕事を持つ人(日本・15歳以上・2022年・総務省)
10.6万人介護・看護のために過去1年間に前職を辞めた人(日本・2022年)。うち女性8.0万人
約78%上の10.6万人のうち、調査時点で仕事に就いていなかった人(8.3万人。当メディアで計算)
93日介護休業の上限。対象家族1人につき通算で、3回まで分けて取れる(令和7年度時点)

総務省統計局(2023年公表、2022年の調査)[1]

介護をしている人は628.8万人、そのうち仕事を持つ人は364.6万人(58.0%)で、5年前より2.8ポイント上がりました。50〜54歳では、男性の88.5%、女性の71.8%が働きながら介護をしていました。

対象: 日本の15歳以上(就業構造基本調査、約54万世帯) / 限界: 介護をしているかは本人の回答によるもので、介護の重さまではわかりません。

Lillyら(2007)[4]

各国の研究を整理すると、介護をしている人全体では、働いている割合は介護をしていない人と変わりませんでした。働く時間を減らす傾向はあり、仕事を辞めやすいのは介護の負担が重い人に限られていました。

対象: 家族を無償で介護する人と仕事についての国際的な研究のシステマティックレビュー / 限界: 日本以外の国の研究をまとめたもので、2007年時点の整理です。

Kikuzawa・Uemura(2021)[5]

働いていた50代の女性のうち、親の介護を週5時間以上始めた人は、介護をしていない人より仕事を辞めやすいという関連がありました。週5時間未満の人では、その関連は見られませんでした。

対象: 日本の50〜59歳の働く女性10,028人(2005〜2014年の厚生労働省の追跡調査) / 限界: 2017年の育児・介護休業法改正より前のデータで、柔軟な働き方の効果は直接調べられていません。

Katsumataら(2026)[6]

在宅で家族を介護する409人のうち、働きながら介護する人は、働いていない人よりストレスを感じやすいという関連がありました。働く介護者では、ほかに介護を手伝う人がいない場合にストレスが多く見られました。

対象: 日本の訪問看護を利用する家族の介護者409人(働く人126人) / 限界: 1時点の調査で、因果関係までは言えません。

03まだわかっていないこと

日本で介護休業や短時間勤務を使った人が、実際に離職しにくくなったかを確かめた研究は、まだ少ないのが現状です。

  • 令和7年(2025年)4月の改正(会社からの個別の周知・意向確認など)で、介護離職が減るかどうか
  • テレワークや時間単位の休暇が、どのくらい両立の助けになるか
  • 男性・非正規雇用・自営業の人で、どんな条件のときに離職しやすいか(今ある日本の研究は50代女性が中心)

04親と一緒にできること

親の希望を聞く、地域包括支援センターにつなぐ、会社の制度を確かめる。この3つを、辞める決断より先に進めるのが基本です。

1

親がどう暮らしたいかを先に聞く

サービスの話より先に、親の希望を聞きます。「これからも家で暮らしたい?手伝ってほしいことがあったら、一緒に考えたいんだ」

目安 帰省や電話のときに・15分

2

親の住む地域の地域包括支援センターに相談する

介護保険の申請やサービスの相談ができる窓口です。子どもが離れて住んでいても電話で相談できます。親には「お母さんが楽になる方法を、専門の人に聞いてみてもいい?」と了解をとってからにします。

目安 心配が出てきた時点で・電話1本

3

会社に伝えて、制度を個別に教えてもらう

令和7年4月から、介護に直面したと申し出た社員に、会社は介護休業・介護休暇・短時間勤務などの制度と、介護休業給付を個別に知らせる義務があります[2]。辞めるかどうかは、制度を聞いてから考えても遅くありません。

目安 介護が始まりそうな段階で

4

介護休暇と介護休業を使い分ける

通院の付き添いや手続きなど、その日だけの用事には介護休暇(年5日、時間単位も可)。サービスの手配や家の準備など、体制を整える時期には介護休業(通算93日、3回まで)を使います[2]。

目安 年5日+必要な時期に分けて

5

きょうだいで役割を分ける

ひとりで抱えると、時間も気持ちも限界に近づきます。「通院は私、書類はお兄ちゃん、電話は週1回ずつ交代でどう?」のように、得意なことで分けます。

目安 最初の話し合いで

令和7年4月からは、40歳になった年などに、会社から介護休業制度などの情報提供を受けられるようになりました[3]。親の物忘れが気になってきた段階の話は親の物忘れは年のせい?、運転のことは免許返納の切り出し方も参考にしてください。

05よくある質問

介護休業は93日しかないのに、どうやって介護するの?

厚生労働省は、介護休業を「介護の体制を構築するため一定期間休業する場合」に使うものと説明しています。93日の間に自分がずっと介護するのではなく、介護保険の申請やサービスの手配をして、働きながら回る形を整えるための期間と考えると使いやすくなります。

介護休暇と介護休業はどう違うの?

介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる長めの休みです。介護休暇は1年に5日(対象家族が2人以上なら10日)までで、時間単位でも取れます。通院の付き添いや介護保険の手続きのような、その日だけの用事に向いています(令和7年度時点の制度)。

会社に親の介護のことを伝えたら何がある?

令和7年(2025年)4月から、介護に直面したと申し出た社員に、会社は介護休業などの制度、申出先、介護休業給付を個別に知らせ、利用の意向を確かめることが義務になりました。利用を控えさせるような周知や確認は認められていません。

介護休業中のお金はどうなるの?

受給資格を満たしていれば、原則として休業開始時の賃金の67%の介護休業給付を受けられます(厚生労働省、令和6年改正内容の解説)。条件は勤め先かハローワークで確認してください。

出典

  1. 総務省統計局 (2023). 令和4年就業構造基本調査 結果の概要. https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf
  2. 厚生労働省・都道府県労働局. 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説. https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001407488.pdf
  3. 厚生労働省・都道府県労働局. 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(令和7年4月1日から段階的に施行). https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf
  4. Lilly, M. B., Laporte, A., & Coyte, P. C. (2007). Labor market work and home care's unpaid caregivers: a systematic review of labor force participation rates, predictors of labor market withdrawal, and hours of work. The Milbank Quarterly, 85(4), 641-690. https://doi.org/10.1111/j.1468-0009.2007.00504.x
  5. Kikuzawa, S., & Uemura, R. (2021). Parental Caregiving and Employment among Midlife Women in Japan. Research on Aging, 43(2), 107-118. https://doi.org/10.1177/0164027520941198
  6. Katsumata, K., Hoshino, J., & Sakurai, M. (2026). Employment Status, Self-Rated Health, and Stress Among Family Caregivers of Community-Dwelling Care Recipients in Japan. Healthcare, 14(18), 3036. https://doi.org/10.3390/healthcare14183036