体と健康

親の家の冬が寒い。室温と血圧の研究と、暖かくしてもらう工夫

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的資料2件を整理
室温計
Photo: Jacek Halicki / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

帰省して、親の家の廊下やトイレがひんやりしていて驚いたことはありませんか。日本の全国調査では、冬の居間の平均室温は16.8℃で、WHOが目安に挙げる18℃より低い家が多くありました。室温が低いほど朝の血圧が高いという関連もわかっています。まずは温度計で「見える化」し、親と一緒に暖め方を考えるのが第一歩です。

3行でわかる

  1. 日本の2,190軒の調査で、冬の居間の平均は16.8℃、寝室は就寝中12.8℃でした。WHOは18℃を目安に挙げています。
  2. 室温が低いほど朝の血圧が高いという関連があり、年齢が高い人や女性ほど影響を受けやすい傾向でした。
  3. ひとり暮らしや収入が少ない家ほど、居間が18℃を下回りやすい傾向でした。親を責めず、温度計を一緒に見るところから始めます。

01結論から言うと

親の家の冬の寒さは、我慢の問題ではなく健康の問題として考えてよいテーマです。居間だけでなく寝室や脱衣所も含めて、18℃を一つの目安に暖め方を見直します。

WHO(世界保健機関)は2018年の「住まいと健康の指針」で、寒さによる病気を防ぐための最低限の室温として18℃を挙げています[1][6]。日本は断熱の基準が低い家が多く、使う部屋だけをその時だけ暖める習慣もあるため、欧米より室温が低いと指摘されています[1]。

お風呂場の温度差とヒートショックの話は冬のお風呂の記事にまとめました。この記事では、ふだん過ごす部屋や寝室の室温と、血圧との関係を見ていきます。

02研究とデータでわかっていること

日本の冬の家は、居間・脱衣所・寝室とも18℃を下回ることが多く、室温が低いほど朝の血圧が高い関連があります。高齢になるほど、室温による血圧の差は大きくなる傾向です。

16.8℃冬の居間の平均室温(日本の2,190軒、2014〜2019年の冬)
12.8℃就寝中の寝室の平均室温(同じ調査)
9割超居間・脱衣所・寝室それぞれで、最低室温が18℃を下回った家の割合(同じ調査)
11.6mmHg室温10℃→20℃で下がると推計された、80歳女性の朝の上の血圧(日本の調査をもとにした計算、2024年)

海塩(Umishio)ら / スマートウェルネス住宅調査(2020)[1]

冬の2週間、家の中の温度を測りました。在宅中の居間の平均は16.8℃、脱衣所は13.0℃、就寝中の寝室は12.8℃でした。都道府県別では北海道が19.8℃で最も高く、香川県が13.1℃で最も低くなりました。ひとり暮らしの家は、居間が18℃を下回りやすい傾向でした(オッズ比1.96)。

対象: 全国の2,190軒(2014〜2019年の冬) / 限界: 断熱改修を予定していた家が対象で、断熱の低い家にかたよっています。

暖かい地域のほうが室温が低いのは意外です。北海道では家の断熱が比較的よく、家全体を暖める習慣が広がっていることが理由の一つと考えられています[1]。この調査では、こたつを使う家や、厚着をしている家ほど室温が低い傾向もありました[1]。

海塩(Umishio)ら(2019)[2]

家で毎日血圧を測ってもらったところ、室温が10℃低いと、朝の上の血圧は8.2mmHg高い関連がありました(調査の平均年齢57歳での値)。夜より朝のほうが室温の影響を受けやすく、年齢が高い人や女性ほど影響が大きい傾向でした。

対象: 日本の約2,900人(1,840世帯) / 限界: 一時点の調査なので、寒さが血圧を上げたと断定はできません。

海塩(Umishio)ら(2024)[3]

同じ調査のデータから、室温が10℃から20℃に上がったときの朝の上の血圧の下がり方を推計しました。80歳の男性で10.2mmHg、80歳の女性で11.6mmHgと、40歳(男性5.1、女性6.5mmHg)より大きくなりました。

対象: 日本の約2,900人・約3万3,000回の測定をもとにした計算 / 限界: 実際に暖めて試した結果ではなく、計算による推計です。

佐伯(Saeki)ら / 奈良県立医科大学(2014)[4]

寒い時期(10〜4月)に高齢者の血圧を測ると、外の気温より部屋の温度のほうが血圧と強く関連していました。室温が1℃低いと、日中の上の血圧が0.22mmHg高くなっていました。

対象: 高齢者868人 / 限界: 観察研究で、因果関係までは示していません。

国土交通省が支援する調査の中間報告(2019年)では、断熱改修のあとに起床時の上の血圧が下がったことや、就寝前の室温が低い家ほど過活動膀胱(急にトイレに行きたくなる症状)のある人が多いことが報告されています[5]。夜中のトイレについては夜間頻尿と転倒の記事も参考になります。

03まだわかっていないこと

家を暖めることで、日本の高齢者の脳卒中や心臓の病気が実際にどれだけ減るかは、まだ確かめられていません。高齢者に最適な室温も、はっきりした数字は出ていません。

  • 暖めることで病気や入院が減るか(紹介した研究の多くは観察研究か計算による推計です)[2][3]
  • 高齢者にとって何℃がいちばんよいか(18℃は最低限の目安です)[1]
  • 断熱改修の効果の大きさ(国の調査は中間報告で、改修するかを本人が選んだ比較です)[1][5]

04親と一緒にできること

「寒いのは体に悪いからやめて」ではなく、温度計で一緒に確かめ、親が納得できる暖め方を選んでもらいます。暖房代を気にする親には、使う部屋と時間を絞る案から話します。

1

温度計を置いて、室温を一緒に見る

居間、寝室、脱衣所に温度計を置きます。「この部屋、何度くらいあるんだろうね」と一緒に見ると、数字が話のきっかけになります。「寒くない」と感じていても、数字で見ると思ったより低いことがあります。

目安 次の帰省で、朝と夜に1回ずつ

2

朝の起きる前と、寝る部屋を優先して暖める

研究では、夜より朝のほうが室温と血圧の関連が強く出ていました[2]。起きる少し前に暖房が入るようにする、寝室とトイレまでの廊下を冷やしすぎないなど、朝の寒さを減らす工夫から始めます。

目安 毎朝。寒くなり始める11月ごろから

3

暖房代の心配には、親の気持ちを聞いてから話す

「もったいない」という気持ちは大事にします。「暖房代、気にしてる? 私は、お母さんが朝ふるえてないかのほうが気になるな」と、責めずに自分の気持ちとして伝えます。使う部屋と時間を絞って暖める案を一緒に考えます。

目安 電話や帰省のときに1回

4

血圧や体調が気になれば、相談先へ

家で血圧を測っている親なら、寒い朝の数字を次の受診でかかりつけ医に見せるよう勧めます。「冬の朝の血圧、先生に見てもらおうか」と声をかけます。住まいや暮らしの相談は、お住まいの地域の地域包括支援センターでもできます。

目安 次の受診の前に

05よくある質問

冬の部屋は何度くらいにすればいい?

WHO(世界保健機関)は2018年の指針で、寒い季節の室温の目安として18℃を挙げています。日本の全国調査では居間の平均が16.8℃で、多くの家がこれを下回っていました。まずは温度計で今の室温を知ることから始めます。

こたつがあれば部屋は寒くても大丈夫?

日本の全国調査では、こたつを使う家ほど居間の室温が低い傾向がありました。トイレや脱衣所、寝室への移動で冷えることも考え、部屋全体を暖めることも話し合ってみます。

家が寒いと血圧が上がるの?

日本の研究では、室温が低いほど朝の血圧が高いという関連がありました。年齢が高い人や女性ほど室温の影響を受けやすい傾向です。血圧が気になる場合の対応は、かかりつけ医に相談してください。

ひとり暮らしの親の家は寒くなりやすい?

日本の全国調査では、ひとり暮らしの家は、同居の家族がいる家に比べて居間が18℃を下回りやすい傾向がありました(オッズ比1.96)。離れて暮らす場合は、帰省のときに室温を一緒に見てみるのが手軽です。

出典

  1. Umishio W, et al. (2020). Disparities of indoor temperature in winter: A cross-sectional analysis of the Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan. Indoor Air, 30(6), 1317-1328. https://doi.org/10.1111/ina.12708
  2. Umishio W, et al. (2019). Cross-Sectional Analysis of the Relationship Between Home Blood Pressure and Indoor Temperature in Winter: A Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan. Hypertension, 74(4), 756-766. https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.12914
  3. Umishio W, et al. (2024). Effect of living in well-insulated warm houses on hypertension and cardiovascular diseases based on a nationwide epidemiological survey in Japan: a modelling and cost-effectiveness analysis. BMJ Public Health, 2, e001143. https://doi.org/10.1136/bmjph-2024-001143
  4. Saeki K, et al. (2014). Stronger association of indoor temperature than outdoor temperature with blood pressure in colder months. Journal of Hypertension, 32(8), 1582-1589. https://doi.org/10.1097/HJH.0000000000000232
  5. 国土交通省 住宅局 (2019). 住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは? 断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)(平成31年1月24日). https://www.mlit.go.jp/common/001270010.pdf
  6. World Health Organization (2018). WHO Housing and health guidelines. https://www.who.int/publications/i/item/9789241550376