体と健康

冬の親のお風呂が心配。ヒートショックと入浴中の事故、家族でできる備え

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わかっている度 ★★☆ 中研究6本・公的資料2件を整理出典照合済み(2026-10-07)
浴槽
Photo: BradBeattie / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

冬に親がひとりでお風呂に入っていると思うと、心配になりますよね。入浴中の事故は、家族が仕組みを少し整えることで備えられます。柱は「脱衣所と浴室を暖める」「お湯は41度以下・10分まで」「入る前と入浴中に声をかける」の3つです。

3行でわかる

  1. 浴槽での溺死は2024年に7,776人。そのうち65歳以上が7,363人で、約95%を占めました。
  2. 事故は冬、特に気温の低い日に集中します。持病がなくても、前ぶれがなくても起きることがあります。
  3. 家族でできるのは、温度差を小さくする、お湯で体を温めすぎない、ひとりで倒れたままにしない工夫です。

01結論から言うと

親の入浴事故への備えは「温度差を小さくする」「お湯で温まりすぎない」「倒れても気づける」の3つです。持病がなくても起きるので、家族で決めておくと安心です。

ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移ったときなどに、急な温度の変化で血圧が大きく上下することです。消費者庁は、入浴中の事故は持病や前ぶれがない場合でも起こるおそれがあると呼びかけています[2]。

最近は、血圧の変化だけでなく、熱いお湯に長くつかって体温が上がりすぎることも大きな原因だという見方が出てきました[7]。だから「寒さを減らす」と「温まりすぎない」の両方が大切です。

02研究とデータでわかっていること

浴槽での溺死の約95%は65歳以上で、冬の寒い日に集中します。家のお風呂でひとりで倒れると、誰にも気づかれにくいこともわかっています。

7,363人浴槽内での溺死などで亡くなった65歳以上(日本、2024年)
約95%浴槽での溺死のうち65歳以上が占める割合(日本、2024年)
9.7倍日平均気温1.8℃の日の、入浴中の溺死のリスク。30.3℃の日との比較(日本全国、1995〜2020年)
6.4%自宅のお風呂での心停止のうち、倒れるところを誰かが見ていた割合(大阪市、2012〜2014年)

消費者庁が厚生労働省の人口動態統計(2024年)をまとめたところ、「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水」で亡くなった人は7,776人でした。このうち65歳以上が7,363人です[1]。

Taiら(2025)[5]

寒い日ほど入浴中の溺死は増えていました。最もリスクが高かったのは日平均気温1.8℃の日で、30.3℃の日の9.7倍でした。65歳以上や男性では、中くらいの気温の日でも関連が強く出ました。

対象: 日本全国、1995〜2020年の入浴に関連した溺死110,938人と気象データ / 限界: 都道府県単位の分析で、一人ひとりの家の寒さや入り方は測っていません。

意外なのは、暖かい県ほど寒い日のリスクの上がり方が大きかったことです。最大の倍率は鹿児島県で19.6倍、北海道は3.8倍でした。二重窓が少ない県でも関連が強く、家の断熱が関わっている可能性があります[5]。

Suzukiら / 東京都監察医務院(2015)[3]

入浴に関連して亡くなった人の多くは60歳以上で、冬に起きていました。解剖した人の79.1%に、水を吸い込んだ跡がありました。約4人に1人は、血液中のアルコール濃度が0.5mg/mLを超えていました。

対象: 東京都23区、2009〜2011年の入浴関連死3,289人(うち解剖550人) / 限界: 解剖したのは一部の人です。約3人に1人は、目立った病気が見つかりませんでした。

Kiyoharaら(2016)[6]

入浴中の心停止の約半数(48.9%)が12〜2月に起きていました。自宅のお風呂で倒れるところを誰かが見ていたのは6.4%だけでした。自宅で起きた512人のうち、後遺症が少なく回復したのは1人でした。

対象: 大阪市、2012〜2014年の入浴に関連した心停止642人 / 限界: 1つの市のデータです。倒れる前の様子はわかりません。

Suzukiら(2017)[4]

冬の6か月間に入浴に関連して亡くなる人は、全国で約13,369人と推計されました。多くは、お湯をはった浴槽の中で顔が水につかった状態で見つかっていました。

対象: 東京都・佐賀県・山形県の救急要請、2012年10月〜2013年3月 / 限界: 一冬・3地域からの推計です。人口動態統計の溺死の数とは数え方が違います。

Taiら(2024)[8]

入浴前の居間が寒い人ほど、入浴中に体の表面の温度が高くなっていました。体の表面が36℃を超えると、1℃上がるごとに、上の血圧は2.41mmHg、脈は1分あたり2.99回上がっていました。

対象: 日本の地域で暮らす1,479人(中央値68歳)を、家で入浴中に測定 / 限界: 1回の測定の研究で、事故が減るかは確かめていません。

03まだわかっていないこと

事故の主な原因が血圧の変化なのか、体温の上がりすぎなのかは、まだ結論が出ていません。対策でどれだけ事故が減るかを比べた試験も見当たりません。

  • 主な原因はどちらか。心筋梗塞や脳卒中など病気が見つかるのは入浴死の半分に満たないとの報告があり、体温の上がりすぎを重く見る研究者もいます[7]
  • 脱衣所の暖房や湯温の目安で、事故が実際に何割減るか(当メディアが調べた範囲では、比べた試験は見つかりませんでした)
  • 解剖される人が少なく、原因がはっきりしない例が多いこと[3]

04親と一緒にできること

「お風呂をやめて」ではなく、「好きなお風呂を安全に続けよう」と切り出します。暖房、湯温と時間、声かけの3つを、親と一緒に決めておきます。

1

脱衣所と浴室を、入る前に暖める

消費者庁は、入浴前に脱衣所や浴室を暖め、温度差を温度計で見えるようにすることを勧めています[1]。「脱衣所、私が来たとき寒くて。暖房を置いてみない?」と、自分の感想から話すと押しつけになりにくくなります。

目安 本格的に寒くなる前の帰省で1回

2

お湯は41度以下、つかるのは10分まで

消費者庁が示す目安です[2]。「熱いお湯が好きなのは知ってるよ。41度くらいで試してみて、物足りなかったらまた考えよう」と、試してから決める形にします。タイマーを使うと時間を忘れにくくなります。

目安 毎回の入浴

3

入る前と入浴中に、声をかける

同居なら「今からお風呂入るね」と一声かけ、入浴中もこまめに様子を聞きます[1]。離れて暮らすなら、「お風呂から上がったら、ひとこと送ってくれるとうれしいな」とお願いの形で伝えます。

目安 毎回。離れて暮らすなら寒い日だけでも

4

お酒・食事・薬のすぐ後は避ける

消費者庁は、食後すぐや飲酒後、薬を飲んだ後の入浴を避けるよう呼びかけています[1]。「晩酌はお風呂のあとにしたら、もっとおいしいかもね」と順番の工夫として話します。湯船で意識がぼんやりしたら、気を失う前にお湯を抜くことも伝えておきます[1]。

目安 会話の中で1回

5

体調や持病が気になるなら、相談先へ

血圧や心臓の病気があってお風呂が心配なら、「お風呂の入り方、次の受診で先生に聞いてみない?」と、かかりつけ医への相談をすすめます。ひとり暮らしの見守りは、お住まいの地域の地域包括支援センターでも相談できます。

目安 次の受診の前に

家の中の転倒は親の転倒を防ぐ記事、夏の暑さは熱中症とエアコンの記事でまとめています。

05よくある質問

ヒートショックとは?親の入浴事故はみんなヒートショックが原因?

急な温度の変化で血圧が大きく上下することです。ただ、入浴中の事故の原因はそれだけではありません。熱いお湯で体温が上がりすぎることも大きいという研究者の指摘があり、寒さを減らすことと温まりすぎないことの両方が大切です。

お風呂の事故が多いのは真冬だけ?

冬に集中しますが、真冬だけではありません。大阪市の研究では入浴中の心停止の約半数が12〜2月でした。全国の分析では気温が下がるほどリスクが上がっていたので、秋から備えておくと安心です。

離れて暮らしていて、親の入浴中の様子がわからない。どうしたらいい?

入浴の前後に短く連絡を取り合う約束が、手軽な方法です。自宅のお風呂で倒れても、誰かが見ていたのは6.4%だけという研究があります。見守りの方法は、お住まいの地域の地域包括支援センターにも相談できます。

出典

  1. 消費者庁 (2025). 年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!(2025年12月23日公表。人口動態統計 令和6年の数値). https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_084/
  2. 消費者庁. みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故(入浴中の事故). https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/
  3. Suzuki H, et al. (2015). Characteristics of sudden bath-related death investigated by medical examiners in Tokyo, Japan. Journal of Epidemiology, 25, 126-132. https://doi.org/10.2188/jea.je20140068
  4. Suzuki M, et al. (2017). Sudden Death Phenomenon While Bathing in Japan - Mortality Data. Circulation Journal, 81, 1144-1149. https://doi.org/10.1253/circj.cj-16-1066
  5. Tai Y, et al. (2025). Association between outdoor temperature and bath-related drowning deaths in Japan (1995-2020). Environmental Health and Preventive Medicine, 30, 55. https://doi.org/10.1265/ehpm.25-00116
  6. Kiyohara K, et al. (2016). Characteristics and Outcomes of Bath-Related Out-of-Hospital Cardiac Arrest in Japan. Circulation Journal, 80, 1564-1570. https://doi.org/10.1253/circj.cj-16-0241
  7. Tai Y, et al. (2026). Preventing Bathing-Related Accidents without Overemphasizing "Heat Shock": toward Prevention Strategies Centered on Heat-Related Illness. 日本衛生学雑誌, 81. https://doi.org/10.1265/jjh.25012
  8. Tai Y, et al. (2024). Blood pressure, pulse rate, and skin temperature during hot-water bathing in real-world settings among community-dwelling older adults: the HEIJO-KYO Study. Environmental Health and Preventive Medicine, 29, 12. https://doi.org/10.1265/ehpm.23-00320