体と健康

高齢の親が熱中症になりやすいのはなぜ?エアコンをつけてもらう工夫

約7分で読めます

わかっている度 ★★★ 高い研究5本・公的資料3件を整理出典照合済み(2026-10-07)
部屋の壁のエアコン
Photo: Solijon Solayev / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

高齢の親が熱中症になりやすいのは、年とともに汗をかく力や、暑さを感じる力が落ちるためです。2025年の夏、東京23区で屋内で熱中症で亡くなった181人のうち、エアコンを使っていたのは28人でした。暑い日にエアコンを使ってもらうことが、いちばん確かな備えです。

3行でわかる

  1. 2025年5〜9月の熱中症の救急搬送は全国で100,510人と過去最多でした。65歳以上が57.1%、場所は住居が38.1%で最多です。
  2. 東京23区で屋内で亡くなった人の約8割は、エアコンがない、または使っていませんでした。
  3. 年をとると暑さによる体の負担を感じにくくなります。エアコンの使える家では、熱波での死亡が少ないという研究がそろっています。

01結論から言うと

親の熱中症を防ぐいちばん確かな手段は、暑い日に部屋でエアコンを使うことです。年をとると暑さを感じにくくなるので、体感ではなく温度計の数字で決める工夫が役立ちます。

年をとると、汗の量や皮膚の血流が減り、体の熱を外に逃がしにくくなります。そのうえ、暑さで体に負担がかかっていることを感じにくくなるとわかっています[5][6]。

親が「まだ暑くない」と言っても、体に熱がたまっていることがあります。親の感覚を否定せず、数字という共通のものさしを持つのがコツです。

02研究とデータでわかっていること

熱中症で運ばれる人の半数以上が65歳以上で、場所は家の中が最多です。亡くなった人の多くはエアコンを使っておらず、エアコンのある環境ほど暑い日の死亡が少ないという研究がそろっています。

57.1%熱中症の救急搬送のうち65歳以上の割合(全国、2025年5〜9月)
38.1%熱中症の救急搬送のうち、発生場所が住居だった割合(全国、2025年5〜9月)
約8割屋内で熱中症で亡くなった181人のうち、エアコンがない・使っていなかった人(東京23区、2025年夏、当メディアで計算)
152人屋内で亡くなった181人のうち、ひとり暮らしだった人(東京23区、2025年夏)

東京都監察医務院のまとめでは、2025年6〜9月に東京23区で熱中症で亡くなったのは193人でした。年代別では70代が69人、80代が55人、90歳以上が13人です[2]。

屋内で亡くなった181人のエアコンの状況は次のとおりです[2]。

「使っていなかった」と「なかった」を合わせると144人、約8割(79.6%)です(当メディアで計算)。エアコンが「ある」だけでは足りず、「使う」ことが分かれ目です。

Bouchamaら(2007)[4]

家のエアコンが動いていた人は、熱波で亡くなるリスクが大きく低くなっていました(オッズ比0.23)。涼しい場所へ出かけること(0.34)、人との交流が増えること(0.40)も、よい結果と関連していました。反対に、寝たきり(6.44)や毎日外に出ない(3.35)ことは、リスクの高さと関連していました。

対象: 海外の熱波で亡くなった1,065人を含む6つの研究のまとめ / 限界: 観察の研究で、2006年までの研究に限られます。

Núñez-Rodríguezら(2025)[5]

高齢者は若い人に比べて、汗や皮膚の血流による熱の逃がし方が弱く、水分が不足しやすく、暑さの感じ方も変わっていました。その結果、体に熱がたまりやすく、体の中の温度が早く上がっていました。

対象: 実験と疫学の24の研究のまとめ / 限界: 研究ごとに条件がばらばらで、まとめて数値にはしていません。

Katzら(2026)[8]

エアコンのない介護施設では、極端に暑い日に入居者の死亡が増えていました(オッズ比1.11)。エアコンのある施設では、はっきりした増加は見られませんでした(1.03)。

対象: カナダ・オンタリオ州の介護施設で2010〜2023年に亡くなった73,578人 / 限界: 施設の研究で、自宅で暮らす人にそのまま当てはまるとは限りません。

Yamasakiら(2026)[7]

首都圏では、6月はエアコンがよく使われている日のほうが、気温が上がったときの搬送のリスクが高く、7月になると逆に低くなっていました。著者らは、夏の始まりはエアコンの使い始めが遅れたり、使い方が不十分だったりする可能性を指摘しています。

対象: 首都圏7都県、2015〜2019年6〜9月の熱中症の救急搬送88,893人 / 限界: 地域全体の電気の使用量で見た研究で、一人ひとりの使い方は測っていません。

消防庁も2025年、夏を待たずにエアコンの動作確認や試運転をするよう、住民への早めの呼びかけを都道府県や消防本部に求めました[3]。2025年は6月の搬送人員が過去最多でした[1]。

03まだわかっていないこと

高齢者に合う室温の目安や、扇風機だけでどこまで防げるかは、研究ではっきりしていません。エアコンを使ってもらう声かけの効果を確かめた試験もまだ少ない状況です。

  • 扇風機の効果。リスクが下がる傾向はありましたが、はっきりした差にはなっていません(オッズ比0.60)[4]
  • 高齢者にとって最適な室温の目安(当メディアが調べた範囲では、1つに決めた研究は見つかりませんでした)
  • 家族の声かけや見守りで、親のエアコン使用が増え、熱中症が減るか(日本の家庭で確かめた試験はほとんど見当たりません)

04親と一緒にできること

「エアコンをつけて」と言う前に、つけない理由を聞きます。そのうえで、夏の前の試運転、温度計で決めるルール、暑い日の連絡を一緒に決めます。

1

つけない理由を、まず聞く

「エアコン、あまりつけない理由ってある?電気代?冷えるのが苦手?」と聞きます。理由がわかれば、設定温度や風向きなど、親が納得できるやり方を一緒に探せます。

目安 梅雨入り前の電話で

2

夏の前に、試運転をしてもらう

消防庁や東京都監察医務院は、夏が来る前にエアコンが動くか確かめることを呼びかけています[2][3]。「暑くなる前に、一回つけてみてくれる?ちゃんと冷えるか教えて」とお願いします。

目安 5月から6月はじめに1回

3

温度計の数字で決めるルールを作る

暑さを感じにくくなるため、体感だけに頼らないようにします[5][6]。「部屋に温度計を置いて、この数字になったらつける、って決めておこうか」と、親が自分で判断できる形にします。

目安 次の帰省で

4

暑い日は、短く連絡を取る

人との交流は、熱波での死亡の少なさと関連していました[4]。「今日は暑いね。部屋は何度になってる?」と電話やメッセージで聞きます。監察医務院は、動いていなくてもこまめに水分と塩分をとるよう勧めています[2]。

目安 暑い日に1日1回

5

心配なときは、相談先へ

持病や薬のことで暑さが心配なら、かかりつけ医に相談します。ひとり暮らしで暑い日の様子が気になるときは、お住まいの地域の地域包括支援センターに見守りを相談できます。

目安 夏が来る前に

ひとり暮らしと孤立の記事、冬のお風呂の事故の記事もあわせてどうぞ。

05よくある質問

高齢者はなぜ熱中症になりやすいの?

年とともに汗の量や皮膚の血流が減り、体の熱を逃がしにくくなるためです。さらに、暑さで体に負担がかかっていることを感じにくくなります。そのため、本人が暑くないと思っていても熱がたまっていることがあります。

扇風機だけでは熱中症を防げない?

扇風機だけで十分かは、研究でははっきりしていません。熱波の研究のまとめでは、扇風機はリスクが下がる傾向にとどまり、エアコンは死亡のリスクが大きく低いことと関連していました。暑い日はエアコンを使うのが確かです。

親が電気代を気にしてエアコンをつけてくれない。どう話せばいい?

まず、つけない理由を聞くことから始めます。東京23区で屋内で亡くなった人の多くは、エアコンがあっても使っていませんでした。命令ではなく、温度計の数字で決めるなど、親が自分で判断できるルールを一緒に作ると受け入れられやすくなります。

出典

  1. 総務省消防庁 (2025). 令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況(確定値、2025年10月29日公表). https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r7/heatstroke_nenpou_r7.pdf
  2. 東京都監察医務院. 令和7年夏の熱中症死亡者の状況(東京都23区・確定値). https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/r7heatstroke-fixed-pdf
  3. 総務省消防庁. 令和7年版 消防白書 トピックス3 熱中症による救急搬送の状況及び予防啓発の取組. https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r7/topics/69550.html
  4. Bouchama A, et al. (2007). Prognostic factors in heat wave related deaths: a meta-analysis. Archives of Internal Medicine, 167, 2170-2176. https://doi.org/10.1001/archinte.167.20.ira70009
  5. Núñez-Rodríguez S, et al. (2025). Heat Tolerance in Older Adults: A Systematic Review of Thermoregulation, Vulnerability, Environmental Change, and Health Outcomes. Healthcare, 13, 2785. https://doi.org/10.3390/healthcare13212785
  6. Millyard A, et al. (2020). Impairments to Thermoregulation in the Elderly During Heat Exposure Events. Gerontology and Geriatric Medicine, 6. https://doi.org/10.1177/2333721420932432
  7. Yamasaki L, et al. (2026). Air Conditioning Use and Ambulance Transports for Heat-Related Illness Across Summer Months in the Tokyo Metropolitan Area. Environment & Health, 4, 2119-2125. https://doi.org/10.1021/envhealth.5c00808
  8. Katz GM, et al. (2026). Air Conditioning in Nursing Homes and Mortality During Extreme Heat. JAMA Internal Medicine, 186, 243-251. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2025.6595