体と健康

親が夜中に何度もトイレに起きる。夜間頻尿と転倒の関係は?

約6分で読めます

わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的資料2件を整理出典照合済み(2026-10-07)
夜の廊下を照らす足元灯
Photo: Weston Woodbury / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

親が夜中に何度もトイレに起きるのは、転倒と関係があります。追跡研究をまとめた分析では、夜の排尿で起きる人は転ぶ危険が約1.2倍でした。原因の見立てはかかりつけ医に任せ、家族は「夜のトイレまでの道」を一緒に整えるところから始められます。

3行でわかる

  1. 夜にトイレで起きること(夜間頻尿)がある高齢者は、転ぶ危険が約1.2倍と報告されています。
  2. 日本の70歳以上の調査では、夜2回以上トイレに起きる人が45.7%いました。珍しいことではありません。
  3. 夜間頻尿が転倒の「原因」かどうかは、まだはっきりしていません。家族は夜道の安全と、相談のきっかけ作りを担えます。

01結論から言うと

夜中に何度もトイレに起きる親は、そうでない親より転びやすい傾向があります。ただし原因はさまざまなので、治し方はかかりつけ医に任せ、家族は夜の通り道を整えます。

夜にトイレのために目が覚めることを、夜間頻尿(やかんひんにょう)と呼びます。年をとると珍しくありません。

心配なのは、寝ぼけた状態で、暗い中を歩くことです。夜間頻尿と転倒の関係を調べた研究のまとめでは、転ぶ危険がおよそ1.2倍でした[1]。

一方で、夜間頻尿にはいろいろな体の状態が関わることがあります[1]。水分を減らす、薬を変えるといった判断は家族ではせず、かかりつけ医に相談します。

02研究とデータでわかっていること

夜間頻尿のある高齢者は転ぶ危険が約1.2倍で、日本の研究では転倒による骨折との関連も見られました。高齢者が転んで運ばれる場所は、住まいの居室・寝室が最多です。

約1.2倍夜間頻尿がある人の転ぶ危険(転倒を調べた5本の追跡研究のまとめ、2020年)
45.7%夜2回以上トイレに起きる人の割合(日本の70歳以上784人、2003年の調査)
2.2倍転倒による骨折の起こりやすさ(同じ日本の784人を5年追跡)
29,783人居室・寝室で転んで救急搬送された65歳以上(東京消防庁管内、2024年)

Pesonenら(2020)[1]

夜間頻尿がある人は、転ぶ危険が1.20倍でした。骨折は1.32倍でしたが、偶然の可能性を否定できない幅でした。

対象: 夜間頻尿と転倒・骨折を追跡した9本の研究のまとめ(転倒は5本、骨折は5本) / 限界: 「転びやすさの目印」としての確かさは中くらいでした。夜間頻尿が転倒の原因かどうかの確かさは、とても低いと評価されています。

Nakagawaら(2010)[2]

夜2回以上トイレに起きる人は、5年の間に転倒による骨折が起こりやすく(2.20倍)、骨折全体でも2.01倍でした。

対象: 日本の地域に住む70〜97歳の784人(平均76歳) / 限界: 骨折は41件と少なく、関連があったことを示す研究です。

Vaughanら(2010)[3]

前の1年に転んでいなかった人のうち、夜3回以上トイレに起きる人は、その後3年で転ぶ危険が28%高くなっていました。

対象: 米国の地域に住む高齢者692人(平均74.5歳) / 限界: 著者ら自身が、原因かどうかは確かめられないと書いています。

住まいの事故のデータも、夜の動線の大切さを示しています。東京消防庁の2024年のデータでは、住まいで転んで運ばれた65歳以上42,180人のうち、29,783人が居室・寝室でした。トイレ・洗面所も1,229人います[5]。

厚生労働省のガイドは、高齢者は夜間にトイレに行くことが多いため、間接照明や足元灯などで転倒を防ぐ工夫が重要だとしています[4]。冬に夜中のトイレで急な寒さにさらされると、血圧が急に上がるおそれがあることにも触れています[4]。

03まだわかっていないこと

夜間頻尿が転倒を直接引き起こしているのか、夜のトイレ回数が減れば転倒も減るのかは、まだわかっていません。

  • 夜間頻尿そのものが転倒の原因なのか、背景にある体の状態が両方に関わっているのか[1]
  • 夜のトイレ回数が減ると転倒も減るのか(著者らも、今後の研究が必要としています)[3]
  • 足元灯などの夜の照明だけで、夜のトイレでの転倒がどれだけ減るか

04親と一緒にできること

家族の役目は、夜のトイレまでの道を安全にすることと、かかりつけ医に話すきっかけを作ることです。回数を責めたり、水分を勝手に制限したりはしません。

1

まず困りごととして聞いてみる

「夜、何回くらい起きるの?眠れてる?」と、体調を気づかう聞き方をします。「トイレが近いのは年のせい」と流さず、親が困っているかを聞きます。

目安 電話や帰省のときに1回

2

寝室からトイレまでを一緒に歩いてみる

夜の暗さで、床の物、コード、段差、敷物の端を確かめます。足元灯の場所も一緒に決めます。「私が泊まったとき夜に転びそうになって」と、自分を理由にすると話しやすくなります。家全体の見直し方は親の転倒を防ぐ記事にまとめています。

目安 次の帰省で夜に10分

3

冬は廊下とトイレの寒さを話題にする

厚生労働省のガイドは、WHOの指針を紹介し、冬の室温を18℃以上に保つことに触れています[4]。寒い夜は上着を枕元に置くなど、親がしやすい方法を一緒に考えます。

目安 寒くなる前に1回

4

かかりつけ医に伝える準備を手伝う

「次の受診のとき、夜のトイレのことも先生に聞いてみない?何回起きたかメモしておくと話しやすいよ」と声をかけます。物忘れなど他の変化も気になるときは、物忘れの記事も参考に、お住まいの地域の地域包括支援センターにも相談できます。

目安 次の受診の1週間前から

05よくある質問

夜中にトイレに何回起きたら多いの?

研究によって区切りは違います。日本の研究では夜2回以上、米国の研究では夜3回以上を目安に調べていました。回数よりも、本人が困っているか、ふらつきや転びそうになることがあるかを見て、気になればかかりつけ医に相談します。

寝る前に水を控えさせたほうがいい?

家族の判断だけで水分を減らすことはしません。原因によって合う対応が違うため、飲む量や時間を変えるかどうかは、かかりつけ医と相談して決めます。家族ができるのは、夜道を明るく安全にすることです。

夜のトイレで転ばないために、家族ができることは?

寝室からトイレまでの通り道の物やコードを片づけ、足元灯などで足元を照らします。厚生労働省のガイドも、高齢者は夜間にトイレに行くことが多いため、足元灯などで転倒を防ぐ工夫を勧めています。冬は廊下やトイレの寒さにも気をつけます。

出典

  1. Pesonen JS, et al. (2020). The Impact of Nocturia on Falls and Fractures: A Systematic Review and Meta-Analysis. The Journal of Urology, 203(4), 674-683. https://doi.org/10.1097/JU.0000000000000459
  2. Nakagawa H, et al. (2010). Impact of nocturia on bone fracture and mortality in older individuals: a Japanese longitudinal cohort study. The Journal of Urology, 184(4), 1413-1418. https://doi.org/10.1016/j.juro.2010.05.093
  3. Vaughan CP, et al. (2010). The association of nocturia with incident falls in an elderly community-dwelling cohort. International Journal of Clinical Practice, 64(5), 577-583. https://doi.org/10.1111/j.1742-1241.2009.02326.x
  4. 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会. 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月). https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  5. 東京消防庁. 救急搬送データからみる高齢者の事故(令和6年中のデータ). https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/kkhansoudeta.html