離れて暮らす親の見守り。電話や帰省の頻度はどのくらいがいい?

電話は毎日したほうがいいのか、帰省は年に何回なら足りるのか。離れて暮らしていると、正解がわからず悩みますよね。研究からの目安は「親が、誰かと週1回以上つながっているか」です。その「誰か」は子どもだけでなく、友人や近所の人でもかまいません。
3行でわかる
- 子どもからの電話や帰省の「ちょうどいい回数」を直接比べた研究は、まだありません。
- 日本の研究では、別居の家族・友人・近所の人との接触が週1回以上ある高齢者は、健康の悪化との関連が見られませんでした。
- 電話やネットの連絡も役に立ちますが、ときどき直接会うことも大切だと考えられます。
01結論から言うと
決まった正解の回数はありません。目安は、子ども・親戚・友人・近所の人を合わせて、親が週1回以上誰かと会うか連絡を取っていることです。子どもはその一部を担えば十分です。
見守りの頻度を考えるとき、「自分が何回連絡するか」だけで考えると苦しくなります。仕事や家庭があり、毎日の電話や毎月の帰省は難しい人も多いはずです。
研究で健康と関連していたのは、子どもに限らない「人とのつながり全体」の量でした。子どもの連絡は、その大切な柱の1本です。
02研究とデータでわかっていること
人との接触が月1回未満の高齢者は、早期の死亡や認知症のリスクの高さと関連していました。週1回以上では関連が見られませんでした。直接会う頻度は、うつ症状とも関連していました。
内閣府の国際比較調査で、日本の60歳以上に、別居している子と会ったり電話などで連絡したりする頻度を聞いた結果は次のとおりです[1]。
- ほとんど毎日: 10.9%
- 週に1回以上: 20.0%
- 月に1〜2回: 24.1%
- 年に数回: 16.1%
- ほとんどない: 2.7%
残りは「別居している子供はいない」18.7%と無回答です。別居の子がいて答えた人だけで計算すると、週1回以上は41.9%でした。回答者全体で「ほとんど毎日」と「週に1回以上」を合わせると、日本は30.9%、同じ調査の米国は64.8%でした(いずれも当メディアで計算)。
斉藤雅茂ら(2015)[2]
同居していない子ども・親戚・友人・近所の人と会ったり連絡したりする回数が月1回未満の人は、要介護2以上になるリスクが1.37倍、認知症が1.45倍、早期の死亡が1.34倍でした。月1回〜週1回未満でも関連があり、週1回以上では関連が見られませんでした。
対象: 愛知県6市町の自立した65歳以上1万2,085人、最長10年追跡 / 限界: 観察研究です。子どもとの接触だけを取り出した分析ではありません。
Teoら(2015)[3]
子ども・家族・友人と直接会う頻度が少ないほど、2年後のうつ症状が多くなっていました。数か月に1回以下の人は11.5%で、月1〜2回の人の8.1%、週1〜2回の人の7.3%より高い割合でした。電話や手紙・メールの頻度では、この関連は見られませんでした。
対象: 米国の50歳以上1万1,065人(2004〜2010年) / 限界: 米国の研究で、観察研究のため原因とまでは言えません。
Katoら(2026)[4]
ネットやメールで家族・友人・知人と週2〜3回以上やりとりしていた人は、孤独感がわずかに低いという関連がありました。
対象: 日本の65歳以上4,807人(2019年と2022年の調査) / 限界: 差は小さく、著者らも因果関係を示すものではないとしています。
03まだわかっていないこと
子どもからの電話や帰省の回数だけを取り出して、親の健康との関係を調べた研究は見つかりませんでした。電話やネットの連絡にどこまで効果があるかも、まだはっきりしていません。
- 子どもからの連絡の「ちょうどいい回数」(研究は子ども・友人・近所を合わせた接触を見ています)[2]
- 電話やネットの連絡にどこまで効果があるか(うつ症状との関連は直接会う頻度のみ、という米国の研究と、孤独感とわずかに関連したという日本の研究があります)[3][4]
- 連絡を増やすと親の健康が実際に保てるか(試験で確かめた研究は見つかりませんでした)
04親と一緒にできること
回数は親の希望を聞いて一緒に決め、無理なく続けます。電話は短くても定期的に、会うのは次の予定を先に決めておくのがコツです。親の周りのつながりにも目を向けます。
連絡の回数を、親の希望を聞いて決める
多すぎる連絡は、監視されているように感じる親もいます。「電話、どのくらいだとちょうどいい?多かったら遠慮なく言ってね」と聞いて決めます。
目安 最初に一度話し合う
短くても、曜日を決めて続ける
「毎週日曜の夜に、5分だけ声を聞かせてね」のように、曜日と長さを決めると続けやすくなります。用事がなくても電話していい、という形にしておくと、変化にも気づきやすくなります。
目安 週1回・5〜10分
次に会う日を、帰り際に決めておく
「次はお盆に来るね。その前に何かあったら呼んでね」と、次の予定を口にしてから帰ります。会う間隔が数か月以上空くときは、ビデオ通話で顔を見るのも一つの方法です。
目安 帰省のたびに
親の周りのつながりを知っておく
「最近、〇〇さんとは会ってる?」と、友人や近所の人の話を聞きます。物忘れが気になってきたら、年のせいの物忘れとの違いの記事も参考にしてください。話し方や様子の変化が気になるときは、かかりつけ医か、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談できます。
目安 電話のたびに1つ
帰省したときは、家の中の段差や床の物にも目を向けてみてください。親の転倒を防ぐ記事で、見直す場所をまとめています。
05よくある質問
離れて暮らす親に、毎日電話したほうがいい?
毎日が必要だという研究は見つかりませんでした。愛知県の65歳以上の研究では、子ども・親戚・友人・近所の人との会ったり連絡したりが週1回以上ある人は、早期の死亡や認知症などとの関連が見られませんでした。毎日でなくても、続けられる回数を親と決めるのが現実的です。
LINEやビデオ通話でも意味がある?
日本の65歳以上の研究では、ネットやメールで家族や友人と週2〜3回以上やりとりする人は、孤独感がわずかに低いという関連がありました。ただし米国の研究では、うつ症状と関連していたのは電話やメールではなく、直接会う頻度でした。連絡と、ときどき会うことの両方があるとよいと考えられます。
帰省は年に何回くらいが目安?
帰省の回数そのものを比べた研究は見つかりませんでした。米国の50歳以上の研究では、子ども・家族・友人と直接会うのが数か月に1回以下の人は、月1〜2回の人よりうつ症状が多く見られました。子どもが会えない間は、近所の人や友人と会う機会があるかにも目を向けます。
出典
- 内閣府. 令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査 調査結果(別居している子供との接触頻度、子供や孫とのつきあい方). 調査期間: 日本は2021年1月5日〜25日. https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r02/zentai/pdf/2_2.pdf
- 斉藤雅茂, 近藤克則, 尾島俊之, 平井寛, JAGESグループ (2015). 健康指標との関連からみた高齢者の社会的孤立基準の検討 10年間のAGESコホートより. 日本公衆衛生雑誌, 62(3), 95-105. https://doi.org/10.11236/jph.62.3_95
- Teo AR, Choi H, Andrea SB, et al. (2015). Does Mode of Contact with Different Types of Social Relationships Predict Depression in Older Adults? Evidence from a Nationally Representative Survey. Journal of the American Geriatrics Society, 63(10), 2014-2022. https://doi.org/10.1111/jgs.13667
- Kato D, Kawachi I, Kondo K, Nakagomi A, Shiba K. (2026). Heterogeneous Associations Between Frequent Virtual Communication and Loneliness Among Older Adults: Observational Analysis. Journal of Medical Internet Research. https://doi.org/10.2196/96187


