ひとり暮らし・見守り

高齢の親は特殊詐欺にだまされやすい?被害のデータと家族でできる対策

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わかっている度 ★★☆ 中研究5本・公的資料1件を整理
電話の受話器
Photo: Raimond Spekking / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

「うちの親は大丈夫」と思っていても、ニュースを見るたびに心配になりますよね。結論から言うと、特殊詐欺の被害の半分は65歳以上ですが、年をとっただけでだまされやすくなるとは言い切れません。だまされやすさと関わるのは、年齢よりも、もの忘れの始まり、気持ちの落ち込み、相談できる相手の少なさなどです。そして、詐欺の多くは電話から始まります。

3行でわかる

  1. 2025年の特殊詐欺は全国で27,832件、被害は約1,423億円。被害者(法人を除く)の51.3%が65歳以上でした。
  2. 被害の入り口の78.8%は電話です。「犯人と話さずに済む」仕組みづくりが、家族にできるいちばん確かな対策です。
  3. 研究では、年齢よりも、考える力の低下、気持ちの落ち込み、読み書き・お金の知識の少なさが、だまされやすさと関連していました。

01結論から言うと

高齢の親だから必ずだまされやすい、とは言えません。ただ、被害の入り口は電話が約8割で、親が電話を受ける場面を減らす工夫が、家族にできる確かな対策です。

警察庁によると、2025年は20代・30代の被害が大きく増え、被害者に占める65歳以上の割合は前の年より14.0ポイント下がりました[1]。警察庁は「犯人側と接触してしまえば、誰もがだまされるおそれがある」とまとめています[1]。

つまり、親の判断力を疑うより、「犯人の電話が親に届かない」「お金の話は一人で決めない」という仕組みを、親と一緒に作るほうが近道です。

02研究とデータでわかっていること

被害は今も65歳以上に多く、70代・80代は1件あたりの被害額も大きくなっています。研究では、だまされやすさは年齢そのものより、心と頭の状態や暮らしの状況と関連していました。

51.3%特殊詐欺の被害(法人を除く)のうち65歳以上の割合(全国、2025年)
59.2%被害総額のうち65歳以上の被害が占める割合(全国、2025年)
78.8%だます手段として最初に使われたのが電話だった割合(全国、2025年)
約33万件警察が把握した「予兆電話」(資産などを探る不審な電話)の件数(全国、2025年)

警察庁の2025年の確定値では、65歳以上の被害は14,273件、被害額は841.1億円でした[1]。家族などを装う詐欺に限ると、件数がいちばん多い年代は80代以上(3,235件)、次いで70代(2,453件)です[1]。

Burnesら(2017)[2]

米国の調査をまとめた結果、認知症のない自宅で暮らす高齢者のおよそ18人に1人が、1年間に詐欺の被害にあっていました(1年間の割合5.4%)。

対象: 米国の12研究・41,711人のメタ分析(複数の研究を統合する分析) / 限界: 米国のデータで、日本の割合とは比べられません。

Jamesら(2014)[3]

年齢が高いほか、考える力(認知機能)が低い、心の健やかさが低い、読み書きやお金の知識が少ない人ほど、「だまされやすさ」の点数が高い関連がありました。

対象: 米国シカゴ周辺の認知症のない639人(平均82.4歳) / 限界: 本人の自己評価による点数で、実際の被害を数えた研究ではありません。

Castleら(2012)[4]

怪しさの手がかりがある顔写真を、年上の人たちは若い人たちより「信頼できる」と判断しやすい傾向がありました。脳の「なんだか怪しい」と感じる部分の反応も弱めでした。

対象: 米国の55〜84歳119人と20〜42歳24人ほか / 限界: 写真を見る実験で、実際の電話でだまされるかは調べていません。

Boyleら(2019)[5]

詐欺への警戒心が低い高齢者ほど、その後の約6年でアルツハイマー型認知症になるリスクが高い関連がありました(点数が1下がるごとに約1.6倍)。

対象: 米国シカゴ周辺の認知症のない935人 / 限界: 著者ら自身が、この点数で一人ひとりを予測するには弱いと述べています。

03まだわかっていないこと

年をとると詐欺の被害が本当に増えるのかは、研究でまだ結論が出ていません。日本の高齢者を対象にした、だまされやすさの研究も多くありません。

  • 高齢者のほうが詐欺被害に多くあうという確かな証拠はない、とする総説もあります[6]。経験の多さや暮らし方が守りになっている可能性があります。
  • ここで紹介した研究はすべて米国のもので、日本の手口や暮らしにそのまま当てはまるかはわかりません。
  • 家族の声かけで被害がどれだけ減るかを、くらべて確かめた研究は見つかりませんでした。

04親と一緒にできること

親を疑うのではなく「誰でもだまされる時代だから」と、家族みんなのルールとして話すのがコツです。電話を直接受けない工夫と、お金の話の相談ルールを一緒に決めます。

1

「みんなのルール」として切り出す

「若い人もだまされてるんだって。うちも家族でルールを決めておかない?」と、親だけを心配しているのではない言い方にします。警察庁も、接触すれば誰でもだまされるおそれがあるとしています[1]。

目安 次の電話か帰省のときに5分

2

知らない電話に直接出ない工夫を一緒に考える

警察庁は、犯人からの電話を直接受けない対策をすすめています。固定電話は、申し込めば国際電話番号からの発着信を無料で休止できます[1]。留守番電話で相手を確かめるなど、親が続けやすい方法を選びます。

目安 帰省のときに一緒に設定を確認

3

「お金の話が出たら、一度切って家族に電話」を合言葉にする

「お金やカードの話が出たら、いったん切って私に電話してね。怒らないから」と伝えます。責められないと分かっていると、親は相談しやすくなります。不安なときは警察相談専用電話「#9110」にも相談できます[1]。

目安 決めたら、月に1回の電話で思い出す

4

「最近だまされそうになった」話は、体調の変化のサインとして聞く

米国の研究では、詐欺への警戒心の低下とその後の認知症に関連がありました[5]。物忘れなど気になる様子が重なるときは、物忘れと認知症の違いを参考に、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談します。

目安 気になる出来事があったとき

親の暮らしの決めごとは、免許返納の話し方と同じで、「取り上げる」より「一緒に決める」ほうが受け入れられやすくなります。

05よくある質問

高齢の親は特殊詐欺にだまされやすいの?

2025年の被害の51.3%は65歳以上でしたが、20代・30代の被害も大きく増えています。米国の研究では、年齢よりも考える力の低下や気持ちの落ち込み、知識の少なさがだまされやすさと関連していました。年齢だけで決まるわけではありません。

特殊詐欺は何から始まることが多い?

警察庁の2025年のデータでは、だます手段として最初に使われたのは電話が78.8%で最も多く、メールやメッセージが13.8%でした。家族や警察官などを装うオレオレ型の詐欺や還付金詐欺では、電話が9割以上です。

親に詐欺の注意をすると嫌がられない?

「年寄り扱いされた」と感じることはあります。「若い人もだまされている」「家族みんなのルール」として話すと、親だけを疑う形にならず受け入れられやすくなります。

出典

  1. 警察庁. 令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)(2026年6月5日公表). https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/260605/01.html(資料1: PDF)
  2. Burnes D, et al. (2017). Prevalence of Financial Fraud and Scams Among Older Adults in the United States: A Systematic Review and Meta-Analysis. American Journal of Public Health, 107(8), e13-e21. https://doi.org/10.2105/AJPH.2017.303821
  3. James BD, Boyle PA, Bennett DA. (2014). Correlates of susceptibility to scams in older adults without dementia. Journal of Elder Abuse & Neglect, 26(2), 107-122. https://doi.org/10.1080/08946566.2013.821809
  4. Castle E, et al. (2012). Neural and behavioral bases of age differences in perceptions of trust. PNAS, 109(51), 20848-20852. https://doi.org/10.1073/pnas.1218518109
  5. Boyle PA, et al. (2019). Scam Awareness Related to Incident Alzheimer Dementia and Mild Cognitive Impairment: A Prospective Cohort Study. Annals of Internal Medicine, 170(10), 702-709. https://doi.org/10.7326/M18-2711
  6. Ross M, Grossmann I, Schryer E. (2014). Contrary to Psychological and Popular Opinion, There Is No Compelling Evidence That Older Adults Are Disproportionately Victimized by Consumer Fraud. Perspectives on Psychological Science, 9(4), 427-442. https://doi.org/10.1177/1745691614535935