親との話し方

親の介護で兄弟姉妹ともめるのはなぜ?分担の話し合い方と、研究でわかっていること

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的資料2件を整理
食卓といす
Photo: User:Mattes / CC BY 2.0 de / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

親の介護で兄弟姉妹ともめるのは、あなたの家族だけではありません。米国の研究では、介護を担う子ほど兄弟との緊張が強く、親が特定の子を頼りにしていると感じるとさらに強まりました。もめにくくするために研究が示す手がかりは、親の希望を先に聞くこと、役割の分担をはっきりさせることです。

3行でわかる

  1. 介護を担う子は、近くに住む子や娘、親から「将来頼りにされていた」子に偏りやすいことが、米国の追跡研究でわかっています。
  2. 介護をしている子ほど兄弟との緊張が強く、親が特定の子を頼りにしていると感じるとさらに強まりました。
  3. 研究が勧めるのは、親自身の希望を早めに聞くことです。そのうえで、介護の中身を役割ごとに分けて話し合うと進めやすくなります。

01結論から言うと

兄弟姉妹のもめごとは、介護が一人に偏ることと「親は誰を頼りにしているか」の受け止め方の違いから起きやすくなります。親の希望を一緒に聞き、役割を分けて話すのが出発点です。

日本で介護が必要な人の主な介護者を見ると、「同居している子」が18.2%でした。「別居の家族等」も13.4%あります(2025年)[1]。子どもが親の介護の中心になることは、もう珍しくありません。

兄弟姉妹がいると、分担できる安心がある一方で、「なぜ自分ばかり」「やり方に口を出される」という不満も生まれます。研究ではこの不満は、性格の問題よりも、介護の偏りや家族の組み合わせと関連していました[3][4]。

誰かを責めるより、仕組みとして分け方を考えるほうが、結果的に親のためにもなります。

02研究とデータでわかっていること

介護は近くに住む子や娘、親が頼りにしていた子に集まりやすく、介護している子ほど兄弟との緊張が強くなります。米国の研究で、介護する子の約15%が兄弟からの批判を感じていました。

18.2%主な介護者のうち「同居している子」の割合(日本、2025年)
約6倍親から車で2時間以内に住む子が介護役になるオッズ(米国、母親139人の7年追跡)
86%「母は将来の介護を特定の子に頼りたいと思っている」と感じていた子(米国、2014年)
約15%兄弟姉妹から介護のやり方を批判されたと感じた子(米国、介護する子408人、2023年)

Pillemerら(2014)[2]

7年前に母親が「将来介護を頼みたい」と名前を挙げていた子は、実際に介護役になるオッズ(なりやすさの目安)が約3倍(オッズ比3.01)でした。車で2時間以内に住む子は約6倍(6.41)、娘は息子の約2倍(2.16)でした。

対象: 米国ボストン周辺の65〜75歳の母親139人と、その子537人 / 限界: 母親と子だけの研究で、父親の介護や日本の家族には当てはまらない可能性があります。

Suitorら(2014)[3]

母親の病気のあとに介護をした子ほど、兄弟姉妹との緊張が強いという関連がありました。「母は特定の子を頼りにしている」と感じている場合は、さらに緊張が強くなりました。自分が頼られている側か、他の兄弟が頼られている側かは関係ありませんでした。

対象: 米国の214家族の成人した子450人 / 限界: ある時点の調査で、昔からの兄弟仲の影響を切り分けきれていません。

Rurkaら(2023)[4]

兄弟姉妹から介護のやり方や時間について批判されたと感じた子は、全体の約15%でした。娘だけのきょうだいの娘では26%、兄弟が主に男性の娘では3%と、家族の組み合わせで差がありました。娘どうしで「何が母のためか」の考えがぶつかりやすいことが、聞き取りからわかりました。

対象: 米国の231家族で母親を介護する子408人 / 限界: 「批判された」は本人の受け止め方で、実際の言動を測ったものではありません。

Skoblowら(2025)[5]

兄弟姉妹のいない一人っ子の介護者は、兄弟のいる人よりも介護のお金の負担を重く感じていました。また、家族や友人からの支えが心の健康とよい関連を示したのは、兄弟のいる人だけでした。兄弟がいることは、もめごとの種にも支えにもなりうると読めます。

対象: 米国の全国調査で親を介護する子1,773人(うち一人っ子12%) / 限界: ある時点の調査のため因果関係はわかりません。支えとの関連は人種・民族の違いで説明できる可能性も指摘されています。

03まだわかっていないこと

兄弟姉妹のもめごとを減らす話し合いの方法を、試験で確かめた研究はまだほとんどありません。日本の家族を対象にした研究も多くありません。

  • 家族会議や役割分担表などの方法で、もめごとが実際に減るか(試験で確かめた研究はほとんど見つかりませんでした)
  • 日本の「長男の嫁」「同居の子」といった家族の形でも、米国と同じ傾向になるか[2][3][4]
  • 父親の介護や、親が認知症の場合に、兄弟の関係がどう変わるか(ここで紹介した研究の多くは母親が対象です)

04親と一緒にできること

まず親本人の希望を兄弟みんなで聞きます。次に介護の中身を「近くでする役割」と「離れていてもできる役割」に分け、感謝を言葉にして続けます。

1

親の希望を、兄弟みんなで聞く

研究者は、親が将来の介護を誰に期待しているかを早めに確かめることを勧めています[2]。「もしものとき、どこで誰とどう暮らしたいか、今のうちに聞かせてほしいな」と、親が決める前提で聞きます。誰か一人だけが聞くと「えこひいき」の受け止め方が生まれやすいので[3]、できれば電話やビデオ通話で全員がそろう場にします。

目安 帰省や電話のついでに30分

2

介護を「役割」に分けて書き出す

近くの子に介護が集まりやすいのは自然なことです[2]。通院の付き添い・買い物などの「近くでする役割」と、手続きの調べもの・お金の記録・親への定期的な電話などの「離れていてもできる役割」に分け、紙に書いて共有します。

目安 兄弟で1回、1時間ほど

3

やり方の違いは「批判」でなく「相談」で伝える

きょうだいの間では「何が親のためか」の考えがぶつかりやすいことがわかっています[4]。「どうしてそうしないの」ではなく、「いつもありがとう。私はこう思ったんだけど、どう思う?」と、感謝を先に伝えてから意見を言います。

目安 気づいたときに毎回

4

迷ったら、第三者を交えて話す

家族だけで決めきれないときは、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談できます。介護保険を使っているなら、担当のケアマネジャーに家族の話し合いに入ってもらう方法もあります。相談先の詳しい使い方は地域包括支援センターの記事に、仕事との両立は介護離職を防ぐ記事にまとめています。

目安 話し合いが2回まとまらなかったら

05よくある質問

親の介護で兄弟ともめるのは、よくあること?

珍しくありません。米国で母親を介護する子408人の研究では、約15%が「兄弟姉妹に介護のやり方を批判されたことがある」と答えました。介護を担う子ほど兄弟との緊張が強いという研究もあります。

遠くに住んでいる兄弟は、何を分担すればいい?

近くに住む子に介護が集まりやすいことは研究でも示されています。遠方の兄弟は、通院の付き添いのような「近さが必要な役割」以外を受け持つと分けやすくなります。たとえば、介護保険や役所の手続きの調べもの、お金の管理と記録、親への定期的な電話、近くの兄弟が休む日の帰省です。

介護をした分は、相続のときに考慮される?

民法には「寄与分」という決まりがあります。親の療養看護などで財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人について、相続人同士の話し合いで寄与分を決め、まとまらなければ家庭裁判所が定めます。認められるかは事情によるため、具体的なことは専門家に相談してください。

出典

  1. 厚生労働省. 2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/dl/05.pdf
  2. Pillemer K, Suitor JJ. (2014). Who provides care? A prospective study of caregiving among adult siblings. The Gerontologist, 54(4), 589-598. https://doi.org/10.1093/geront/gnt066
  3. Suitor JJ, Gilligan M, Johnson K, Pillemer K. (2014). Caregiving, perceptions of maternal favoritism, and tension among siblings. The Gerontologist, 54(4), 580-588. https://doi.org/10.1093/geront/gnt065
  4. Rurka MM, Suitor JJ, Gilligan M, Frase RT. (2023). How do own and siblings' genders shape caregivers' risk of perceiving care-related criticism from siblings? The Journals of Gerontology: Series B, 78(3), 520-531. https://doi.org/10.1093/geronb/gbac188
  5. Skoblow HF, Gilligan M. (2025). Stressors and resources among adult child caregivers in the presence or absence of siblings. The Gerontologist, 65(3), gnaf006. https://doi.org/10.1093/geront/gnaf006
  6. e-Gov法令検索. 民法(明治29年法律第89号)第877条・第904条の2. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089