親との話し方

親が補聴器を嫌がる・つけてくれない。使わなくなる理由と、話し方

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的資料1件を整理
補聴器のケース
Photo: France1978 / CC BY-SA 2.0 / Flickr
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品・サービスの紹介はしていません。出典は末尾)。

親が補聴器を嫌がる、作ったのに引き出しにしまったまま。そんなとき、理由は「見た目が恥ずかしいから」と思いがちです。けれど研究で多く挙がった理由は、つけても聞こえがよくならない、耳が痛い・うるさいといった使い心地の問題でした。理由を聞き、調整や試しを重ねることが、話し合いの出発点になります。

3行でわかる

  1. 補聴器を作ったのに使っていない人は、研究によって4.7%から24%いました。
  2. 使わない理由で多いのは「役に立たない」と「付け心地」です。見た目を理由に挙げた研究は10件中3件だけでした。
  3. 説得より、困っている場面と使いにくい点を聞き、調整や相談につなぐほうが、研究の結果に沿っています。

01結論から言うと

補聴器を嫌がる理由は、恥ずかしさより「つけても役に立たない」「付け心地が悪い」が中心です。理由を聞いて調整や相談につなげれば、使うかどうかを親が自分で決めやすくなります。

補聴器を作った人がつけなくなる理由を調べた10の研究をまとめたレビューでは、もっとも大事な理由は、補聴器から十分な効果を感じられないことと、付け心地でした[1]。

具体的には、次のような理由が挙がっています[1]。

つまり「年寄りだから意地を張っている」のではなく、使いにくさを抱えたまま我慢していることが多いのです。

02研究とデータでわかっていること

補聴器を使うかどうかに一貫して関係していたのは、本人が「聞こえで困っている」と感じているかでした。年齢や性別との関係は、ほとんどの研究で見られませんでした。

4.7〜24%補聴器を作ったのに使っていない人の割合(海外の研究ごとの幅、2013年のレビューより)
10件中3件使わない理由に「見た目」が挙がった研究の数(同じレビュー)
22.1%難聴のある米国の80歳以上で、補聴器を使う人の割合(1999〜2006年の調査。同じレビューが紹介)
1つだけ39研究で調べた31の要因のうち、相談・入手・使用・満足のすべてに関係したもの(本人が感じる聞こえの困りごと)

McCormack・Fortnum(2013)[1]

補聴器を作った人が使わなくなる理由を、10の研究からまとめました。一番大きいのは「効果を感じない」と「付け心地」でした。見た目を理由にした研究は3件だけで、挙げた人の割合も小さいものでした。著者らは、付け方や手入れの練習と、作ったあとの相談の続きが、使い続けるために大事だとしています。

対象: 補聴器を1台以上作った人について調べた10研究(英国・米国・フィンランドなど) / 限界: 研究ごとに調べ方が違い、数字をまとめた分析ではありません。日本の研究は含まれていません。

Knudsenら(2010)[2]

補聴器の相談・入手・使用・満足に関係する要因を、39の研究から整理しました。4つすべてに関係したのは、本人が感じている聞こえの困りごとだけでした。ほとんどの研究で、年齢や性別とは関係がありませんでした。

対象: 1980〜2009年に発表された39研究 / 限界: くじ引きで比べた試験は少なく、多くは関連を見た研究です。

Meyer・Hickson(2012)、Ng・Loke(2015)[3][4]

高齢者が補聴器を使い始めるのは、聞こえで困っていると本人が感じている、良い点が不便な点より大きいと考えている、家族など身近な人が支えてくれると感じている、といった場合でした。

対象: それぞれ22研究のレビュー / 限界: 家族のどんな関わり方が良いのかまでは、まだ十分に調べられていません。

日本では、国民生活センターに補聴器の相談が寄せられています。60代の女性が、母のために試さずに通信販売で補聴器を買ったところ耳に合わず、電池を入れたため返品できなかった例もあります[5]。

03まだわかっていないこと

家族がどう声をかければ親が補聴器を使い続けるのかを、くじ引きの試験で確かめた研究は見当たりませんでした。日本の高齢者を対象にした、使わない理由の研究も少ない状態です。

  • 家族の声かけや付き添いが、使い続けることにどれだけ効くか[2][4]
  • 今の補聴器でも、同じ理由で使われなくなっているのか(まとめられた研究には古いものも含まれます[1])
  • 日本の高齢者で、どの理由が多いのか(今回調べた範囲では、まとまった研究は見当たりませんでした)

04親と一緒にできること

「つけなさい」ではなく「どこが使いにくい?」と聞くことから始めます。困っている場面と使いにくい点がわかれば、調整や受診の相談につなげられます。決めるのは親です。

1

使いにくい点を、責めずに聞く

「せっかく作ったのに」とは言わず、「つけてみて、どこが一番いやだった?痛い?うるさい?」と聞きます。答えはそのまま否定せず、メモしておきます。

目安 電話や帰省のとき・5分

2

困っている場面から話す

研究では、本人が困りごとを感じているかが一番関係していました[2]。「電話のとき、聞き返すことが増えた気がするけど、困ってない?」と、親の困りごとを入り口にします。

目安 次の電話で1回

3

調整と練習の相談に付き添う

レビューの著者らは、付け心地や付け方の問題は、専門家の相談と支えで対応しやすいとしています[1]。「音や付け心地を、もう一度相談してみない?私も一緒に聞くよ」と誘います。付け外しや電池の交換を一緒に練習します。

目安 1〜2か月以内に1回

4

贈り物にせず、試してから決める

国民生活センターは、まず専門医の診断を受け、契約前に合うかを確かめ、1人で決めないよう勧めています[5]。補聴器を使うかどうかの全体像は補聴器と認知症のリスクの記事、物忘れの受診が気になる場合は受診を嫌がるときの伝え方も参考になります。

目安 新しく作る前に必ず

05よくある質問

親が補聴器をつけないのは、見た目が恥ずかしいから?

それだけではありません。使わない理由を調べた10研究のレビューでは、多かったのは「効果を感じない」と「付け心地」で、見た目が挙がったのは3件だけでした。まず、どこが使いにくいのかを聞いてみましょう。

補聴器を親にプレゼントしてもいい?

試さずに買って贈るのはおすすめできません。国民生活センターには、母のために通信販売で買った補聴器が耳に合わず、返品できなかった相談が寄せられています。耳の診察を受け、親と一緒に試してから決めます。

家族がすすめても、親は補聴器を使わない?

家族の支えは関係します。レビューでは、家族など身近な人が支えてくれると感じている人ほど、補聴器を使い始めていました。押しつけではなく、困っている場面を一緒に考え、付き添う形にします。

出典

  1. McCormack, A., & Fortnum, H. (2013). Why do people fitted with hearing aids not wear them? International Journal of Audiology, 52(5), 360-368. https://doi.org/10.3109/14992027.2013.769066
  2. Knudsen, L. V., Öberg, M., Nielsen, C., Naylor, G., & Kramer, S. E. (2010). Factors influencing help seeking, hearing aid uptake, hearing aid use and satisfaction with hearing aids: a review of the literature. Trends in Amplification, 14(3), 127-154. https://doi.org/10.1177/1084713810385712
  3. Meyer, C., & Hickson, L. (2012). What factors influence help-seeking for hearing impairment and hearing aid adoption in older adults? International Journal of Audiology, 51(2), 66-74. https://doi.org/10.3109/14992027.2011.611178
  4. Ng, J. H., & Loke, A. Y. (2015). Determinants of hearing-aid adoption and use among the elderly: a systematic review. International Journal of Audiology, 54(5), 291-300. https://doi.org/10.3109/14992027.2014.966922
  5. 国民生活センター (2021年2月25日公表). 補聴器トラブルを防ぎましょう!-買ったが合わず返品もできない、医師に不要と言われた…-. https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210225_1.html